27.
観客席のゴダロは、羽飾りのついた帽子を握り締めて、妹人を見た。
「汚い手を!反則だ。」
「…いえ、逆でしょう。あの男、最後の最後に慈悲を見せました。」
「なにがだ。」
「あのまま突っ込んで肘で顔面を潰し、あの小僧がずっと目の端で追っていたソードブレイカーを拾って殺すことも出来ました。我々の完敗です。ゴダロ様。」
「…ぬ。」
「戦いながら舞台の端に追いつめられたのも、ソードブレイカーも、妙な構えも、マンセイに何か言っていたことも、皆、あの身をひねるただ一点の動作をおこなうために組み立てたのでしょう。…力の無さを、技量の不足を、全部計算に入れた上で、それでも敵を傷つけずに、勝つ方法を考えたのでしょう。」
「黙れ。」
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