13.
「…なに?」
顔を洗っていた佳々子は、巨大な轟音に耳を押えた。
遠くの爆発。100m近く跳ね上がる砂煙。
「…あの…人達?」
再度着弾。あがる巨大な砂煙。
鬼魂号は異音を響かせながらひどくゆっくりした動きで立ち上がろうとした。
「まって、私が知っているあの人達なら、きっと私が出れば、キミを攻撃することはないわ。…まって!」
佳々子の声が聞こえないかのように、鬼魂号は、光学式センサーを向けて距離を算定した。 距離5000。4750。接近中。
着弾。炎をあげて、鬼魂号が大きく傾く。
佳々子は手を振りながら、鬼魂号とドクロの戦車の間に立とうと走り出した。
人型戦車の頭部骨格を再生利用した戦車。 主砲推定、180mm45口径長。照準装置不良。 集弾率25%。脅威度…
頭部に一発くらって、鬼魂号は頭から油を吹き出した。
悲痛に叫ぶ佳々子。砂をかぶりながら攻撃をやめさせようとさらに砂浜を走ろうとして、佳々子は、自分をさえぎるようにして巨大な手が動いたのを知った。
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