水の巫女は、時々、泉のほとりに立っている。 あの人が戻ってきやしないか と、そう思うのだ。
そういう時は、声をあげて泣きじゃくる。 細い腕で何度ふいても、涙はとまらない。 あの男は、戦いを嫌いながら、他人のために戦いを選ぶ男。 巫女は思う。 あの時、あの人がどれだけ優しくて、自分はなんと子供だったか と。
あの男は、戦いを嫌いながら、他人のために戦いを選ぶ男。
6.
寝静まった夜。ばあやさんが寝息を立てている隣りで、佳々子は一人、 「…ねえ。キミ。」
佳々子は、独り、口を開いた。
「私は、喜ぶべきなのかな、それとも…」
「…よろこぶべきだよね。」
「…もう、探すのやめようかな…なんちゃって…」