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その次の日も、次の日も、善行は、走り、銃を構え、そして座学を受けていた。
走る善行にあわせて自分も走りながら、若宮は言った。 「軍で応答されるときは、まず、はいを入れてください。断るときは、はい、いいえ違いますです。軍は命令を遵守させる存在です。」 「分かりました。」 「結構です。ミスター。走りながらペースを落して休憩することを覚えてください。行軍時には必須の技能になります。速く、遅く、速く、遅くです。慣れれば10時間走れます。」 「兵員輸送車があると思いますが。」 「日本には山もあれば、建物の中もあります。」 若宮は口調を変えた。「…それに、誰も歩いて進軍する奴がいるなんて思ってませんよ。たとえ幻獣、我々の敵でも。」 善行は、走りながら少しだけ笑った。そういう芸当が出来る程度には体力がついていた。 「若宮戦士、あなたの方が指揮官に向いていると思いますが。」 「はい、いいえ。ミスター善行。自分は兵隊に命令を遵守させ、守らせるのが仕事であります。命令を考えるのは士官の仕事であります。」
「それに、出来の悪い士官は可能な限り排除するのが教育下士官の仕事です。」
「まだ排除されていないのは事実ですな。」
(殺しの技術ばかりがうまくなる。)
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