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校長は、深みのある顔を、口だけ笑わせた。 「そうか。そうだろうな。…義勇軍を送るのは良いとして、問題は兵員の数だ。」 「はい。」 「善行予備少尉。結論から言えば、我が軍はそう遠くない時期に徴兵制度を復活させることになるだろう。その中には、一般の学生や少年も含まれる。」 善行は、無意識に指で眼鏡をあげた。 「聞こえているか。善行予備少尉。」 「聞こえていますよ…半ば呆れましたが。」 校長は、善行をちらりと見たあと、壁にかけられた歴代の校長の写真を見た。 「呆れたというよりは、まあいい。これはまだ国会審議にも入っていない。官僚の、部課長クラス勉強会の"決定"だ。」 「どこが民主主義国家なんだか…それよりも、なぜ僕にそのような話をされるのですか。」
校長は、ふと笑うと、善行を見る。
校長は机の引き出しを開けると、書類を取り出した。机の上に放り出す。
「私が、ですか。」
前鶴校長は、さびしそうに微笑んだ。
立ち上がって背を向けた善行と、それについて歩く若宮の背から、立ち上がった前鶴が声をかける。 |
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