ガンパレードマーチ・外伝
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第7幕

「フランソワーズ先生。でも、誰もいませんけど。」
「そのうち来るわ。」

 空き教室。机も椅子も運び出された教室の真ん中に進んで、原素子はフランソワーズ先生を見た。

フランソワーズは金色の髪の毛を掻きあげ、そして、目を細める。

「原、お前、ちょっと外散歩してきな。」
「え? じゃ、…なんで私ここについて来たんですか。」

「いいから、行け。」
「…」
「すねても駄目だ。行け。」
「はぁい。」

 原は、教室を出るとき、ちょっとだけ髪を揺らして、一人きりの教室を見た。
フランソワーズ先生のすらりと伸びた身体が見える。彫像のように動かない。

さわやかな風が吹いたと、思った。

 善行は所在無げに、校庭の戦闘訓練を眺めていた。
自分も参加しようかという気にかられたが、せっかくの休みだ、無理にでも休むべきだと思う。

 まったく僕は軍人になってしまいましたね…

善行は、自分で自分に苦笑して見せたあと、頭を振った。何かするべきではないか、何かするべきだと、少しでも時間があれば行動せよ。それが生き残る道だ。兵は拙速を尊ぶ。

 そして頭を振った先に、自分を見つめる視線に気付いた。

少女だった。どう見ても自分よりは年下のような。
窓際に立って、細い首だけをこちらに向けて、何か見咎めるような目で、善行を見ていた。


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