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喪服のまま喫茶店に入った善行と若宮は、そこで一人の人物に会った。
若宮が昔世話をしたと言う大尉だった。今は軍政にいるらしい。 「何をやらかしたんだ。君は」
「内田大尉」
内田大尉は、周囲をそれとなく見た。神経質そうに煙草を吹かす。 「君は戦場に回されることになる。緊急でだ」
内田と言われる大尉は、目立たない私服のまま、そう言った。
「なぜだ。理由が分からない。君は何をしたんだ」
若宮は善行を気遣うように見ると、控えめに口を開いた。
善行は無言で眼鏡を押した。
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