ガンパレードマーチ・外伝
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 喪服のまま喫茶店に入った善行と若宮は、そこで一人の人物に会った。
若宮が昔世話をしたと言う大尉だった。今は軍政にいるらしい。

「何をやらかしたんだ。君は」
 挨拶もそこそこに、その大尉は言った。

「内田大尉」
「すまん。戦士……善行君と言ったね」
「はい」

 内田大尉は、周囲をそれとなく見た。神経質そうに煙草を吹かす。

「君は戦場に回されることになる。緊急でだ」
「……」
「上の上が動いている。君は第二のジーメンス事件の証拠でもにぎったのか。いや、それでもここまで露骨なことはしない。分かっているかね。私の言っていることが」
「合法的に僕を殺したいということですか」
「そうだ。陸さんに海兵が頭まで下げてな」

内田と言われる大尉は、目立たない私服のまま、そう言った。
神経質そうにコーヒーに口をつける。

「なぜだ。理由が分からない。君は何をしたんだ」
「私にも分かりません」

若宮は善行を気遣うように見ると、控えめに口を開いた。
「校長が自殺された原因の一環に関わっていると思われているのでは」
「尋問をせずにか。それはおかしい。善行くん、君は本当に心当たりは……いや、やはり聞かないことにしよう。それを知れば、私もどうなるか分からない」

善行は無言で眼鏡を押した。
「なるほど。分かりました」


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