「すみません。お役に立てず」 「いや、いいんだ。ありがとう」 「まだ時間はあります。なにか手を考えましょう」
善行は、デートに遅れたなと思った。
若宮を見た。 「下手をすると、貴方まで巻き込まれますよ」 「自分は未だ、ミスターの教育係であります」
善行は、自分をしごきあげた人間を見た。あの時こいつはサディストだと思った。今はマゾだと思っている。 そう考えると、善行は少しだけおかしくなった。笑いを隠すためにため息をついてみせる。 「……とりあえず、目立つことはやめましょう。自殺させられたらたまらない」 「分かりました」 「学長について調べなければならないでしょうね」