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 大事にバスケットに入れられて、ののみの膝の上に載せられたブータは、眠りながら体力を養っていた。

 時々身体を震わせて、ブータは、夢を見る。

友よ。友よ。と。

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 それは最後の時であった。



 それまで無敵を誇った巨神族の勇者がわずか一撃で頭を吹き飛ばされ、無残な屍を大地にさらしていた。

「なぜだ。なぜ貴様があしきゆめになる」

 ただ一匹生き残ったブータは絶望的な声をあげて、夕日に沈む瓦礫の山を見上げた。

その上に、漆黒の衣を翻す旧友がいた。紅い目を輝かせ、背を向ける男。
 その手には生き物のようにうごめく銃があった。



「答えろ、友よ!」
 瞬く間に周囲のリューンが汚染されていくのがわかった。
男を中心に膨大な量のリューンが、次々と可能性を黒く塗りつぶして行く。

「完全なる青は死んだ。友よ。もはや言い訳はすまい。最後の命だ。あたらしい青を探せ。あたらしいシオネを探すのだ」

 ブータは歌を歌った。黒いリューンを少しでも押しとどめるために。
このままでは世界が滅ぶ。今この機会を除けば。

 しかし。

 ブータの視界が暗くなる。
リュ−ンが、決定的に不足を始めていた。

 ブータはそれでもあがこうとした。
泣きながら。

 ブータの身体が意思に反して浮きあがる。

「そなたでは勝てない。去れ。そして七つの世界に吹聴するがいい。我の黒き伝説を」

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世界が闇に塗りつぶされる。