スラッシュ!”ブリッツクリーク”

■セッションデザイナータイプ別基本教則

 ここからはセッションデザイナーのタイプによって教則が異なります。 自分のタイプにあわせて読み進めてください。

●ダイスマスター

ダイスマスターとはダイスを振る楽しさを指向したいセッションデザイナーをいいます。

ダイスマスターの成功要素作成認定基準

 ダイスマスターは成功要素と成功判定に一対一の対応を設け、それ以外を絶対に認めないように運用してください。

例えば聞き耳であれば、聞き耳の成功要素。
戦闘であれば戦闘という成功要素です。

似たような名前・効果の作成認定は厳禁してください。

ダイスマスターの成功要素抽出基準

 ダイスマスターは成功判定に一対一の対応した成功要素のみの使用を許し、それ以外を絶対に認めないように運用してください。似たような名前・効果の成功要素の併用も厳禁してください。
 ただし、同名であれば認めてあげてください。
また、一時的成功要素、サポーターによる成功要素は加えてもかまいません。

協調成功判定は、原則として認めないでください。
本当によほどうまいと思われる助けでなければ、認めてはなりません。(認めても2シーンに1回程度の頻度を目安にしてください) ただし、肩代わりとして行う判定については、比較的柔軟に対処してください。得意分野を得意な人間がやることを阻んではなりません。(かわりに難易度を高くしてください)

ダイスマスターの難易度設定

 ダイスマスターは通常、30種類までの成功判定しか要求しません。あらかじめきめておくか、メモをとりながら進めてください。

 ダイスマスターは難易度を3、5、7、9と、奇数で決めます。難易度1は、例外的にダイスを振らせたくない時だけしようしてください。
 ダイスマスターは成功判定を行うプレイヤーの成功要素を常に把握しておき、使われるであろう成功要素の2倍+3を目安にして、難易度を設定します。

例:
戦闘5を持つプレイヤーには、戦闘判定で難易度13を要求します。

余談:ダイスマスターの管制下にあるキャラクター

 ダイスマスターの管制下にあるキャラクターは第一世代RPGとほぼ同じ、明確な得意不得意を持つ職能型個性のキャラクターに分離します。

●ロールマスター

ロールマスターとは、演技を行う楽しさを指向したいセッションデザイナーをいいます。

ロールマスターの前提

 ロールマスターはヒーローポイントの使用での設定変更について、神経質に気をつかってください。また、最初の設定作成でも、ゲームバランスを念頭において設定を認めてください。突出して特別な設定を持たせないようにしてください。

ロールマスターの成功要素作成認定

 ロールマスターはキャラクターの設定に即して成功要素を認めてください。
設定に即している場合はそれがなんであれ、かならず成功要素を認定してください。(修正は万能成功要素禁止などで、ゲーム終了後に行ってください)

 ロールマスターは同名成功要素の保有において、基本的に禁止してください。
似たような効果の成功要素は認めても同名は認めないという方針を貫いてください。ロールマスターのセッションにおいて表現である成功要素は多彩であればあるほど望ましいものです。
 細かいバランス調整はルールにまかせ、セッションデザイナーは速度と状況説明に専念してください。

ロールマスターの成功要素抽出基準

 ロールマスターはちょっときいてその成功要素と成功判定がかみあってそうなら、どんどん成功要素の使用を認めてください。
 同様に協調成功判定も同じように緩やかな制限で積極的に認めてください。
細かいバランス調整はルールにまかせ、セッションデザイナーは速度と状況説明に専念してください。

ロールマスターの難易度設定

 ロールマスターは難易度をセッションデザイナーを除くプレイヤーの人数の2倍を基準に状況を見て+αの難易度を与えます。
例えば四人パーティで聞き耳を立てる場合。難易度は8以上にすべきです。

 プレイの様子を見て、セッションデザイナーが難易度が低いと感じたら倍率を1倍づつ高めてください。

難易度を上げる際には情景描写をおおげさにしていってください。
難易度が高ければ高いほど、おおげさに扱います。

難易度を1倍高めるごとに、スケールは1.5の乗数を基準にします。
難易度が2段、つまり3倍にする場合、スケールは2.25倍にしてください。

余談:ロールマスター管制下にあるキャラクター

 ロールマスターの管制下にあるキャラクターは、多芸で似たり寄ったりのキャラクターになります。これを防ぐために、ある程度個性的な設定は認めてください。

●ビギナーマスター

ビギナーマスターとは、プレイ時間8時間以内のセッションデザイナーをいいます。

ビギナーマスターの前提

 ビギナーマスターはキャストに気を使ってください。仕事の半分は名キャストを揃えるかどうかにかかります。
 セッションデザイナーの不備はプレイヤーが埋めるのだと割り切って、可能な限り貴方から見て、名プレイヤーと思われる者をひっぱって来てください。思う最高のキャストがそろうまで、ゲームを開催する必要はありません。

 その上で、一番の名プレイヤーに面白くなるように協力を要請しておいてください。それが最善の方法だと心得てください。

 残念なことに全員が初心者という状況でプレイヤーも名プレイヤーかどうか分からないのであれば、セッションデザイナーは覚悟を決めて、勝率の低い状況でなお勝つために動く必要があります。セッションデザイナーに失敗は許されない、動く時は常に勝つ時だということを肝に命じてください。
 セッションデザイナーの勝利は、これは面白いゲームだとプレイヤーに言わせることです。それだけが勝利で、後は捨ててもかまいません。

 全員が初心者という状況でプレイヤーも名プレイヤーかどうか分からない場合、勝利のために時間と手間という多大な犠牲を払うことになります。
セッションデザインの時間を10時間ほどとり、アルファの掲示板に張り付いて自分が納得するまでスタッフに相談を繰り返してください。全ての疑問に確実に対処する自信をつけるまで、ゲームを遊んではなりません。自分がデザインしたセッションを自分がプレイした時の行動想定を練って、ある程度対処を知る必要があります。 初心者の最初のゲームがラストゲームになることはよくあることです。それを防ぐために第一撃のゲームには心血を注いでください。

その上で、想定外のことが起きてもあたふたせず、落ち着いて難易度を調整しながら成功判定を命じてください。実際のゲームにおいて貴方の味方は速度とルールです。速度は弱者最強の武器です。
困った時は、所詮は成功判定を10回やって目的を達成するゲームだと、頭の中で繰り返して唱えてください。それで随分助かるものです。

 ルールをド忘れしてポカした場合、あ、ごめんなさいとあやまって正しくルールを適用すればいいだけのことです。それであせらないでください。言い訳する必要もありません。貴方の権威が傷つくよりも公正さに傷つくことを恐れてください。
 セッションデザイナーは性格破綻者でもかまいませんが、公正にかけては自分の命より大切にしていることを明確化させてください。自分がゲームシステムの一部であり、ルールであることを理解してください。ルールが勝手にねじまがってはならないのです。

ビギナーマスターの成功要素作成認定

 見かけ上の判定空間の広さにだまされてはなりません。あれはマジックです。
特殊な魔法が存在する世界でない限り、成功要素は大まかに言って4種類しかありません。

です。

 どんな名前の成功要素であろうとも、セッションデザイナーの心の中では必ずこの4種類の大カテゴリーに分類し、この範囲から外れそうなものは認めないようにしてください。

 プレイヤーから成功要素製作の宣言があった場合、ビギナーマスターは心の中で、上記の四種類の中に分類し、分類出来れば許可を与えてください。分類出来ないなら不許可にしてください。
 便利すぎて気に食わない成功要素は後で万能要素認定して闇に葬ることが出来ます。くよくよ考える必要はありません。それよりも処理速度を優先させてください。
 それと、ビギナーマスターは同じ名前の成功要素の登録を認めないでください。これは必ず徹底してください。

ビギナーマスターの成功要素抽出基準

 ビギナーマスターは判定をするさいに、その判定をまず以下の4種類に分類してください。

です。

 例えばおにごっこなら身体能力だ。 暗号を解くなら知的能力だ。という風に決めてしまいます。 セッションデータ構築時に、判定はどの大カテゴリーでさせるか決めておくのもいいでしょう。
 その上でプレイヤーの使用を宣言する成功要素で、同じカテゴリーにないものを全部不許可にし、次に、2つが残るまでを基準に判定にあわないと思われる成功要素を不許可にします。

例:坂上先生と鬼ごっこします。難易度は13です。大カテゴリーは身体能力です。
プレイヤーは、腕力、知力、健脚、口説き文句、火を吹く能力を使って坂上先生を追うと宣言します。
セッションデザイナーであるビギナーマスターは、知力、口説き文句、火を吹く能力を大カテゴリーが違うと判断して不許可にします。残りは2つ、腕力と健脚です。二つが残るまで削れとあるのであとは許可してもかまいませんし、『腕力は鬼ごっこには関係ないだろう』等と考えて、腕力を不許可にすることもできます。

協調成功判定は、後述する難易度設定から逆算して、どこまで認めるかを決めてください。この場合でも2つが残るまでを基準に判定にあわないと思われる成功要素を不許可にしてください。
 二人なら4つの成功要素が残るまで削る(=不許可にする)訳です。

上手なプレイだ、あるいは下手なプレイだというのであれば、成功要素はプラスマイナス1、大きく外れて2つまでの範囲で認めてください。 普通なら2個までしか成功要素を認めないところを、うまい行動宣言なら3つまで認めてあげてもかまいません。ただし、あくまで基本は2個までと覚えておいてください。

ビギナーマスターの難易度設定

 ビギナーマスターはルールに書かれている難易度の目安に、協調成功判定させたいと考えるプレイヤーの数分をかけて難易度を決定します。

例えば4人協力で普通の難易度の判定をさせたいと思ったら、難易度は5の4倍で20になります。
 自分はあまり咄嗟の機転はきかないと思うのであれば、協調成功判定は一人までにし、他の協調判定申し込みに関しては距離が離れ過ぎているとか時間がないとかいって不許可にしてください。 つまり、協調成功判定させたいと思う時は普段の2倍の難易度にして、一人だけ参加させてください。

 普通に考えれば、2つの成功要素は固定ダイス運用で4、サイコロを振って期待値7の値を叩き出します。一時的成功要素を加えても6と10(しかも半分の確率で自動失敗)にしかなりません。難易度5(スリリングの普通)であれば不満足な結果=中間判定がせいぜいであると言う前提で難易度を確定させてください。

ビギナーマスターの演技指導

 ビギナーマスターの演技の基本はおうむ返しです。
キャラクターの名前と最後まで残した成功要素を並べて、最後に行動を言うだけで大丈夫です。
 これ以上は心の余裕があるときだけやってください。ない時は急いでください。速度を優先してください。

例:
プレイヤー:
俺は腕力と健脚で坂上さんを追いかけるぜ。
デザイナー:
山元くんは腕力と健脚で坂上さんを追いかけた。ではサイコロを振ってください。

●マスプロダクションマスター

マスプロダクションマスターとは、ある程度TRPGを遊んだ経験のある セッションデザイナーで、かつ今も現役でTRPGを遊んでいる人です。ダイスマスター、ロールマスター、ビギナーマスターのうち、自分の遊びたいスタイルを読み進めて実施してください。

以下の文章は既存のゲームとは違う遊びや刺激をもとめ、特別とんがった遊び方をする場合の運用規則です。

マスプロダクションマスターの前提

 マスプロダクションマスターは、大前提としてこのゲームをこれまでと同じように運用しようとしないでください。
 既存の知識は一度全部破棄し、これまでつちかった経験だけを武器にセッションデザインしてください。これまで数多のプレイヤーと遊んだ思い出だけが、貴方の真の財産であると思ってください。残りは全部捨ててしまっていささかの問題もありません。

 個性を先鋭化してください。自分が詳しいと思う専門分野でセッションデザインしてください。医学生なら医学セッションをデザインし、学生なら学校を舞台にセッションデザインすべきです。

 Aの魔法陣は人の形にそって丸くデザインしてあるため、規格化された人間や処理を嫌います。杓子定規のルールの裁定は最も苦手とするところです。
その逆で、使う人間が得意とするところは、Aの魔法陣も得意です。
貴方個人の得意とするところこそが、Aの魔法陣が最高の特性を発揮するエリアと心得てください。

マスプロダクションマスターの成功要素作成認定

 成功要素の認定については独裁をもって事にあたり、セッションデザイナーで処理できないと感じられる成功要素は何を言われようと私では処理できないと言って、断固として全部登録を不許可にしてください。
 セッションデザイナーが知らないことは全部登録を認めないとするのが基本です。自分の分をわきまえ、それ以上を一切求めないでください。最終的にそれこそが、貴方を最高のプレイにいざないます。

 マスプロダクションマスターはどれだけルールブックに明記されていても、マスターの裁定よりも、ルールブックを優先させたり、主人はルールブックでマスターはその第一下僕という立場にある人が多いので、独裁的にふるまうことをよく練習してから実際のゲームに望んでください。こと、成功要素の認定、成功要素の抽出に関しては紛れも無くセッションデザイナーが独裁者です。
 目指すはTRPG的な意味の“人のいい笑顔が似合う正直で率直な独裁者”です。RPG世界に民主化をと唱える人間には非TRPG的だとイエローカードを出して黙らせてください。(あるいはそういうゲームなんじゃ、勘弁してくれと言ってください)

 TRPGで人間のマスターを使う意味はルールによってではなく人間によって裁くためです。他ではありません。それは、人間の個性やこまやかな処理をいかせという事です。

マスプロダクションマスターの成功要素抽出基準

 成功要素登録の時点でセッションデザイナーが理解できる範囲しか成功要素は存在してないはずです。ですから、この判定において、この成功要素が使えるはずだと言うことの判断はセッションデザイナーによって正確にできるはずです。

 あとは貴方が設定した難易度を2で割りそこから2引いた数までを成功要素として認めてください。これを基準値といいます。(端数切り上げ)

例:
難易度10の成功判定では2で割って5、さらに2マイナスして3。基準値は3。 三個までの成功要素を認める。

プレイヤーの行動宣言が光るものであれば、成功要素を基準値より+1で認めてください。くだらないようであれば、成功要素を基準値より−1、あるいは−2を目安に採用してやってください。

 基準値に一人で達成できそうもなかったら、特にまずいプレイングをしてるわけでない限り、協調を認めてやるべきです。ただし基準値を越えて戦力を集めさせるようなことを認めてはなりません。何だかんだと理由をつけて却下してください。

マスプロダクションマスターの難易度設定

 シーンが進むごとに難易度を倍に、展開も倍派手にしてください。
5シーン目なら最初のシーンと比較して難易度は5倍、派手さも5倍にしてください。
 最初のシーンが家が吹き飛ぶなら5シーン目は都庁が吹き飛ぶくらいの感じでかまいません。プレイヤーの成功要素がどんどんそろって行くはずなので、難易度を段階的に引き上げないとゲーム的におもしろくありません。

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