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【第一報】夜鳥子4 聖邪が街にやってくる!!
桝田 省治

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 アマゾンにジャケットも入ったようなので、こっちでもあれこれ公開。
 
●写真は、左からジャケット、総扉、口絵見開き、キャラ紹介。
 4巻の舞台は、クリスマスイブ前夜の仙台市、光のページェント。

●帯の煽りと表4の粗筋は、以下のとおり。

聖夜、炎上!! 鬼才・桝田省治による圧倒的エンターテインメント第4弾!!

桂木駒子は、平安時代の陰陽師、夜鳥子の霊を宿す高校二年生。もうすぐクリスマス。駒子は、幼なじみの久遠との一泊計画で胸がいっぱい……そんなある日、親友の三ツ橋から仰天の告白。「妊娠したみたいなんですよぉ」三ツ橋の腹に宿ったのは死者をよみがえらせる“禍星ノ神子”。その裏には安倍晴明復活を企む三匹の式神による陰謀があった。その混乱の最中、夜鳥子の恋人、求道の魂が久遠の中に覚醒する。鬼才ゲームデザイナーがおくる伝奇アクション完結編、開幕!!

●きっと多くの方が店頭で最初に読む後書き(5巻より)

 鬼切り夜鳥子シリーズとは何だったのか?――その変遷を振り返る 

 ……というわけで、もしも人気が出たら続編も書けるという、あざとい含みを残しつつも、鬼切り夜鳥子シリーズはこれでめでたく完結です。
 思えば、僕にとってのこのシリーズは、ひたすら試行実験の場でした。
 一巻「百鬼夜行学園」は、企画書しかないアクションゲームの、影も形もないテレビ画面の臨場感を文章として再現する、その一点に専心しました。
 よって、二五〇ページほどの物語に鬼が六種類、式神が八種類も登場し、それぞれ見せ場のあるバトルを繰り広げる“だけ”という極めて特異な小説となりました。
 結果、当初の目的である「この世にまだないゲームの画面の迫力を写し取る」というその一点では、乙一先生も歓喜してくださったようにそれなりに成功したと思います。
 反面で「登場人物の心情やら背景があまりに薄い」といった批評もいただきました。
 まあ、アクションゲームの戦闘中に、登場人物の気持ちに思いを馳せる人は滅多にいないでしょうから、ある意味、当然の帰結なのですが……。
 で、二巻目「京都ミステリーツアー」では、登場人物の心情やら背景を書くためにいくつか僕なりに工夫しました。
 まず、五人の主要登場人物の心情を無理なく描き、かつテンポのよさを維持するために、一〇ページ区切りくらいで語り手をリレーしながら話を進めるという手法を採用してみました。さらに夜鳥子の背景を描くために舞台を京都に設定し、その過去の断片を本人に語らせるという作戦です。
 さて、この試みが上手くいったかといえば、登場人物の心情や背景がよくわかるという点では評価が上がったものの、次々に視点が変わるのは「落ち着きがなくてイヤ」「誰に思い入れしていいかわからない」との不満が出ました。
 そこで三巻「みちのく血煙慕情」では、主要登場人物をふたりに絞りこみました。さらに、夜鳥子の背景理解をより深めるために、物語の舞台を夜鳥子が生身の人間として生きていた平安時代の末期としました。
 結果ですが、これまで不満の多かった「登場人物の心情や背景」、これらに関する読者の評判はかなり良好。僕自身も手ごたえを感じました。
 が、しかし……、ここで予想もしなかった新たな問題が噴出!!
「歴史物は、なんだか難しそうなのでハナから読みません」とのこと。
(ああ、そうですか。そうでしょうとも。ハハハ……)
 この傾向は、いわゆるラノベの読者層ではきわめて顕著なようでした。
 このような諸々の事情を踏まえて、四巻「聖邪が街にやってくる!!」、五巻「禍★星に願いを」、満を持しての登場です。
 目線は、シンプルに駒子ひとりに原則的に固定。設定は現代。
 これに、健康的なエロ、軽めのSM、わかりやすいギャグ、息をつかせぬアクション、ベタなお涙頂戴、友情、努力、勝利、おまけにグルメ、観光情報、そして大団円まで、下世話な娯楽要素を適正と思われるバランスで詰めこんでみました。
 これは、夜鳥子シリーズの完結編であり、これまでの試行実験の集大成。
 今の僕が書ける精一杯。楽しんでいただけると幸いです。

 とりあえず、第一報。