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昨夜と今朝の夢
桝田 省治

アップロードファイル 137-1.jpg

●昨夜の夢

 僕を含めて登場人物のすべてが「<」こんな形で、黒板のような平面を移動していた。
 ドアを開けて部屋に入るとか窓を開けて外を見ると、別の黒板があった。
 記号が出てくる抽象的な夢はたまに見るが、自分まで記号で表される夢は初めてだ。
 半世紀近く生きているが、外に出なくても驚愕の初体験はできるもんだね。

●今朝の夢

 ナイキの黒いシューズを履いた陸上部の少女が、古代の地中海にタイムワープして戦乱に巻き込まれる、という夢を見た。
 常に先頭に立って戦場を駆け抜ける彼女の姿は、翼があるようだ、と称された。
 彼女の最期は壮絶だった。
 何倍もの敵軍を目の前にしてもひるまず勇敢に突撃していった。
 敵が投じる槍が彼女の腕を奪い、ついには頭も飛ばした。
 だが、彼女の身体はそれでも敵陣に向かって走り続けた。
 その様が味方の兵士たちを鼓舞した。
 兵士たちは、彼女に続いた。
 そして勝った。
 腕と頭を失った彼女は立ったまま、死んでいた。
 戦勝を記念しその姿を模して彫像が造られた。
 それがサモトラケのnike(ニケ)だ。

 ……という強引なオチがついたところで目が覚めた。