●地獄のババぬき 上甲宣之著
2009年01月01日
昨夜、ちょっとだけ読もうと思って開いた500ページ近い小説、一気に読んでしまいました。
寝るのを忘れて夢中で本を読むなんて久しぶりだったので、妙に清々しい新年のスタートとなりました。
その本のタイトルは「地獄のババぬき」
作者は上甲宣之さん。
中身を一言で表せば「全力であほらしい」です。
天才マジシャン、稀代のギャンブラー、深層心理学専攻の女子大生、超能力少女、殺人鬼……、このあたりの濃いメンツが命がけで「ババぬき」をする。
それだけで500ページ。
読み終えても、感動はもちろん何にも残りません。
いやあ、あきれたね(笑)
素晴らしいよ、この潔さ。
何年か前に話題になった少年少女が最後のひとりになるまで島で殺し合いをやる「バトルロワイヤル」、あれに近いあほらしさです。
間違っても、社会に対する風刺とか問題提起だとか、そんなもんを読み取ってはいけません。
断言するけど、作者はそんな面倒なこと毛の先も考えてませんから。
意識して、ちょっと影響されてみようかと思います。
●とある飛空士への追憶 犬村小六著
2009年02月08日
中学受験のシーズンが終わり、娘が通う神保町の塾の時間割が変わった。
それはともかく、行きの電車の中でフロスト警部の新刊(?)を読んでいる人を発見。
ちょうど読む本がなかったので、買おうと思って入った本屋で、なぜか買ってしまったのがタイトルの本。
表紙の女性が凛々しくてつい手にとってしまいました。
最近、夜鳥子の完結編の評判を読みに、あちこちのブログを徘徊していて、よく話題になっていたので、なんとなく表紙の絵を覚えていました。
中身は、次期皇女の姫君を敵地の真ん中を単機で突っ切って、味方のところまで無事送り届けよと命を受けた、最下層民の飛行士の苦労と切ない恋の話。
好きだねえ、こういう3行くらいで粗筋が書けちゃうようなシンプルで真っすぐな話。
雑念だらけの僕には、逆立ちしても書けないけど、一読者として好きだなあ。
人気がある理由もよくわかる。
そういえば、ほめるときを除けば、一読者とか一プレイヤーとして、口を開くことがいつの頃からか少なくなった。
だって、「***のここは酷えと思う」と僕が書いた瞬間、前後の文脈をすっ飛ばしてネット上のあちこちにずっと残るものねえ。
いわく、「自分の駄作を棚に上げて、偉そうなことを。マスダ、氏ね」とか(笑)。
いやまあ、それなりのお金を払って、自分が期待してたモノが手に入らなかった人たちにとっては、そのとおりなのかもしれないけど。
僕だって、一読者や一プレイヤーで、お金を払って期待を裏切られることは多々あるよ。
で、面倒くさいから、「僕はゲームをしません」と言ったら今度は「ゲームもしないのに、わかった風なこと言いやがって、氏ね」と(笑)。
でも、しょうがないんだろうね、プロだし。
ついでに、先日「バカだバカだ」と絶賛した「地獄のババ抜き 上甲宣之著」の前の話に当たる「そのケータイはXX(エクスクロス)で」も読みました。
面白かったけど、このレベルのバカさ加減なら、構造を解析すれば僕にも書けそうだという意味で「バカだバカだ」と絶賛するほどじゃなかった。
あ、ということはこの作者は書くたびにバカ度がアップしてるということかな。
だとしたら素晴らしい。うらやましい限りだ。
●傭兵ピエール 佐藤賢一著
2009年02月24日
島田洋七の話に似てる。
最初はホント(史実)とウソ(創作)の区別がつかない。
ウソだと気づいた頃には、本当かウソかなんてどうでもよくなり、ウソを楽しんでる。
中盤あたりで話がしばらくグダグダするが、最後までこの壮大なホラ話に付き合ってやろうと思えるくらい勢いがあった。
エンターテイメントは、こうじゃなきゃね。