……と次男(中2)が言う。
「なんだ、それ。突然どうした?」と訊ねると、次男はこんな話をした。
最近、お母さんと喧嘩をしなくなった。
たとえば、お母さんが電話をしているときは「テレビの音量を下げろ」と言うくせに、僕が電話をしているときはお母さんは「聞こえない。うるさい」とテレビの音量を上げる。
この類の理不尽さに、ちょっと前まではイチイチ頭にきてそのたびに喧嘩になったが、今はもう慣れた。
そういう点が自分は大人になったと感じる。
さらには、お兄ちゃん(長男)の凄さもわかるようになった。
なにしろ、小学生のころから、お母さんの理不尽さや僕や妹の屁理屈に、怒ることもなくかつ相手を怒らせることもなく受け流してきた。
今思えば、これは凄いことだ。
次男の答は、だいたい以上のような主旨だ。
で、今度は次男が僕に訊ねる。
「お父さんは、お母さんの理不尽さを承知していて結婚したのか、それとも結婚してから気づいて慣れたのか、どっち?」
「理不尽さが面白かったから結婚した……と言ったら信じるか?」
「いや、もしそれが本当だとしたら、僕はまだ大人になってないかもしれないね」
ま、大人にもいろいろあるとは思うし、僕のような大人になってほしいともぜんぜん思わないけどな。