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ジョン&マリー 支援1
桝田 省治

 日に数回、アマゾンのランキングを見ている。
「ジョン&マリー」の執筆中に、気分的には片手間で書いた、おまけに発売すらしていない「ゲームデザイン脳」のほうが評判がいい。
 正直、参った……。
 このままでは、いろいろお世話になったイラストレーターの水玉さんやハヤカワの担当に申し訳ない。
 それに水玉さんとの仕事は実に楽しいので、続編も書きたいと思っている。
 そのためにはそれなりに売れてもらわないと困る。
 というわけで、少しでも販促につながるように「ジョン&マリー」のことを暇を見つけてチョコチョコと書くことにした。

 小説の後書きにも書いたけど、大き目のRPGのシナリオを書いてると、「世界、救い飽きました」とか「世界を滅ぼすなら、いいからさっさとやれよ、魔王」とか、そういう気分になってくる。
 まあ、仕事なので最大公約数的なシンボルとして割り切って書くんだけどさ。
 そういうとき、ふと魔が差して、もっと個人的で庶民的な下世話な理由でもって旅立つ冒険もあっていいよなあ……とか考えた。
 個人的で庶民的な下世話、かつストレートで誰にでもわかる動機付けといえば、やっぱ「金」だろうと。
 ただし、夢はほしいなと。

 結婚に踏み切れない理由の上位に経済的な問題があるというニュースをたぶん見かけたんだと思う。
 そこで浮かんだのが貧乏で陽気なバカップルが結婚資金を貯金するために冒険に出る……とかそんな感じの暢気な設定だった。
 これが「ジョン&マリー」の原型だ。
 その緩い冒険の状況をあれこれ想像してひとりでクスクス笑っていたのだけど、目の前の仕事に忙殺されてしばらく忘れてた。
 というか、その時点では典型的な現実逃避だったから。
 思い出したのは、たぶん去年の夏頃だ。
 去年の前半に「透明の猫と年上の妹」という児童書、夏に「傷だらけのビーナ」という戦記物を書いた。(どっちもまだ出てないけど)
 その両方が登場人物の半分くらいが死んじゃうような話で、書いた僕自身も気が滅入っていた。
 明るくてHな冗談を書き散らしたい気分だった。
 そこで、思い出したのが、結婚資金を貯めるために若い貧乏なバカップルが冒険に出るという、大作RPGではとても使えないアホらしい設定だった。(続く)
 http://bit.ly/JohnMary

 あ、そういえば、SFマガジンの巻頭にインタビューが載ってます。