●水玉さんに感謝
僕は人物や風景、心情などを文章で描写することが苦手だ。その自覚もある。
苦手な理由は十数年ゲームを作りつづけているからだろう。ゲームではこれらを文章で描写することはあまりない。
「○○みたいな感じで」と適当に発注すれば、専門のスタッフが絵を描いてくれる。
多少セリフがすべっていたとしても、その場面の意図さえ正確に伝わっていれば、声優と作曲家が盛り上げてくれる。
時間当たりの映像や音声の情報量、わかりやすさは、おおむね文章より高い。またほとんどのゲームでは文章は読み返せない。長い文章はゲームと相性が悪い。
わざわざ人物や風景、心情などを文章で描写するメリットはほとんどない。
本作では、執筆時間が限られていることもあり、とにかく最初にキャラクターを決めてしまおうと思った。
頭に浮かんだのが水玉さんのポップでキュートな女の子だ。
そこで出版の当てもないのに水玉さんにメールして「描いて」とお願いしてみた。
ちなみに、このぶしつけなお願いをした時点では、僕は水玉さんに会ったこともないし声すら聞いたこともなかった。
なのに、水玉さんも酔狂な方で主人公のふたりはもちろんメインキャラを「こんな感じっすか?」と描いてくれた。
さらには、出版社まで紹介してくれた(笑)。
で、僕は水玉さんが描いてくれたキャラを見ながら、あとから小説を書いたわけだ。
おかげでいつもなら時間がかかる人物の描写で迷うことはほぼなかった。(続く)
http://bit.ly/JohnMary