「ジョン&マリー」を書き始める前にいくつか決めたことがある。
一つ目は、シリーズ展開のしやすさ。これは水玉さんとの作業があまりに楽しく、これきりというのがなんとも寂しかっからだ。
そこで水戸黄門のような大いなるマンネリを一作目から意識した。
水戸黄門のように旅をし、新しい町に着けば新しい趣向の事件が待ちうけ、それを解決しては次の町に向かう。
この基本を設定上の必然として組み込むことにした。
で、考えたのが公的警察組織の繁忙期にのみ臨時で雇われる賞金稼ぎという職業だった。
二つ目は、「工期と質」を同時に死守することだ。
主に水玉さんに紹介してもらったので、顔をつぶすわけにいかないという理由だ。
そこで「効果が不明の新しいことは思いついても絶対にやらない。
性能が実証済みの既存の仕組みや部品で構成する」と決めた。
まず執筆時間短縮のために話の枠組みをいわゆる「起承転結」にはめて、物語をシステムとして捉えることにした。
たぶん僕はゲームのシナリオや小説、プロットまで含めれば、何十と物語を書いてきたが「起承転結」にはめてストーリーを作ったのは久しぶりだった。
話の構成要素もキャラや世界観、ちょっとした趣向や仕掛けも含め、すべて性能がつまびらかな部品だけで構成した。
そういう意味では今回の僕は作家ではなく編集者やアレンジャーだったかもしれない。
(さっき久しぶりと書いたが、たぶん天外2のシナリオ作業以来、二十年ぶりだ)
どこかで見たような既存の部品だけで構成して面白いのか? といえば、読んでもらえればわかるが、さじ加減や組み合わせに注意を払って書けば、ちゃんと面白い。(続く)