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娘は、花と僕と犬に声をかける
桝田 省治

・小5の娘のケータイには、アスファルトやコンクリートのちょっとした割れ目に咲いた花の写真が保存されている。
 彼女はそれらを「強いね」「頑張ったね」と声をかけながら撮影する。わりといい趣味だと思う。

・母校から講演の依頼が来た。
 そのメールを見て「面倒くせえ」と思わずつぶやいた。
 途端に、そばで宿題をやっていた娘から「そういうことは言わないほうがいいよ」と横から声がかかる。
 しょうがないので「前向きにスケジュールを調整する」と返信。
 自堕落な親のもとでもまっとうな子は育つもんだ。

・隣家の犬は、僕には吠えるが娘には吠えない。
 理由を娘にたずねたところ、吠えられるたびにその犬の名前を呼んでいたら吠えなくなったそうだ。

 ちなみにその犬は妻にも吠えない。
 理由を聞いたら一度徹底的に脅したという答。妻が具体的に何をしたかは怖くて聞けない。