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ログ・ホライズン ゲーム企画イメージスケッチ
桝田 省治

「まおゆう」の作者橙乃ままれ氏の次作だ。
 ラノベを想定して300P弱に収める練習として書いてみたというだけあって、内容も「まおゆう」に比べると危なげなくよくコントロールされている。
http://ncode.syosetu.com/n8725k/
 今週の後半ちょっと時間ができたので、ゲーム化のアイデアをメモしておいた。

◇A案:
●前提:
「ログ・ホライズン」は、MMOの世界を舞台にしたファンタジー小説だ。ゆえに、これをそのままMMOとして構築するのは制作コストの点で難しい。
 ゲーム化に当たっては再現するポイントをどこに絞るかがポイントとなる。

●コンセプト:
 プレイヤーに質の異なる3段階の思考を要求するARPG。
 異なる3段階の思考とは、以下の3種類。
1.各戦闘に勝利するための戦術。
2.各ミッションを成功させ、そのミッションの収支を黒字にする戦略。
3.受注したミッションを継続的に成功させることで、所属するギルドを発展させる経営。
 この3点以外、たとえば街での日常生活シーンの再現は、カットする。

●舞台設定:
 小説「ログ・ホライズン」の世界設定に準ずる。
 文明が崩壊した近未来をイメージしたファンタジー世界。
 本作では、その東京近郊エリアを使用する。
 拠点はアキハバラ。ダンジョンは、東京近郊の特徴がはっきりした場所(TDL、皇居、東京タワー、東京駅、地下鉄など)をテーマに作成する。

●プレイヤーキャラ:
「ログ・ホライズン」世界のアキハバラを訪れた旅人。プレイヤーは、複数(10種程度)の職業、人種、性別から選択、顔を作成し、オリジナルキャラを作成できる。
 また他に異性の友人、同性の友人、ライバルの3名をNPCとして登録できる。
 友人2名は、最初からプレイヤーキャラに好感度の高いキャラとして登場。序盤からパーティを編成することができる。
 ライバルキャラは、ときどきミッションに絡んできてプレイヤーの邪魔をする印象的なキャラとして登場する。

●目的:
「ログ・ホライズン」世界に伝わる多数(30種程度)の宝物をすべて集めること。すべての宝物を集めた者はまだいない。すべて集めた者こそこの世界の勇者であり最高の栄誉を手にできる……とかそんな感じの設定。

●手段:
 伝説の宝物を収集するためには、さまざまなミッションを受注し、性質や難度の異なる多くのダンジョンを攻略しなければならない。
 多くのダンジョンを攻略するためには、当然プレイヤーキャラを強化しなければならない。加えて自分の所属するギルドを発展させる必要がある。
 ギルドが発展するメリットは、たとえば以下のとおり。
・どんなミッションにも対応できるよう、自分と異なる技能を持つ職種の人材をギルドのメンバーとして常駐させる。
・既存のアイテムより性能がいい武器などを安定生産する。
・継続的に成功させ自分のギルドの信用を上げることで、より難度の高いミッションが受注できるようになる。
・個人で購入できないような高価なアイテムや施設をギルドの資金で購入できる。
・ギルド内の施設や人材は、タダあるいは割引価格で利用できる。

●ゲームの流れ:
1.既存のギルドのいずれかに所属する。所属しない場合でも、難度の低いミッション、単発のミッションには参加できる。ただし、参加できるミッションは限られている。
2.所属ギルドから与えられたミッションをこなし、レベルを上げ、貯金に励む。また、何度か同じミッションに参加することで、めぼしいキャラの友好度を上げる。
3.ある程度自分のキャラが強くなり、資金が貯まったら、機を見て新ギルドを立ち上げる。その際は、友好度の高いキャラをスカウトする。
4.ミッションを継続的に成功させることで、自分のギルドの信用を上げて、人材確保、武器の開発を行い、さらに難度が高いミッションを受注しそれを成功させる。
5.上記4を繰り返し、どんどん難度の高いミッションを成功させてギルドを発展させる。
6.いくつかの条件がそろうと、伝説クラスの最難度のミッションが発生。それをクリアすれば、ゲームの目的である宝物収集はいちおう終了。(ただし、集めたのちもプレイは継続可能)

●職業:
 戦士系2種、魔法使い系2種、僧侶系2種、魔法戦士1種、僧侶戦士1種、隠し職業2種程度。

●戦闘:
 敵味方入り乱れるアクション。
 プレイヤーが操作するのは、プレイヤーキャラのみ。他の仲間は、本人の性格や職業の役割、戦況の変化に応じて独自に判断し自動的に戦う。ただし、他の仲間キャラには随時、戦術を伝えることができるが、それに従うか否かは、プレイヤーキャラとの関係性において決まる。
 ミッションの難度やダンジョンや敵の性質に合わないパーティ構成を選択した場合、プレイヤーの操作が上手くても個のキャラが強くとも楽には勝てないバランス。
 ダンジョンの移動と戦闘は、シームレスで同じマップを使用。

●戦術:
 サッカーに例えると、FW戦士系、MF魔法使い、DF僧侶系の陣形と、各職業の特徴を活かす戦術の指示。
 ミッションに適したパーティを組み、その陣容に適した戦術を指示できた段階で、ミッションの半分は成功したも同然のバランスを構築する。

●ギルド:
 拠点であるアキハバラには、既存のギルドが複数存在し、戦士系ギルド、魔術師系ギルド、初心者向けギルド、亜人種系ギルド等、それぞれ特徴を持つ。
 ギルドに所属すると、次々にミッションへの参加を斡旋されるので仕事にあぶれることは少ない。
 ただし、ミッションの成功報酬の一定割合が所属ギルドに斡旋料として天引きされる。その率は、大きなギルドほど高い。
 ギルド内で出世すると、パーティのリーダーを任され、メンバーの人選、戦術の指示等の権限が増える。さらに出世すれば、ミッションの受注も可能になる。
 だが、大きなギルド内ではライバルが多いため、出世は難しい。ある程度、強くなり資金が貯まった段階で、自分のギルドを立ち上げるほうが効率がいい。

●パーティ編成:
 原則的に所属するギルド内の人材で編成する。
 必要な人材が同ギルド内にいない場合は、他のギルドの人材を借りる。
 その場合、同ギルド内の人材より割高になる。
 1パーティの最大人数は、4名。
 ミッションクリアの条件、ダンジョンの属性、敵の数や強さを考慮し、ミッションごとに最適のパーティを組む。
 基本は、戦士系1名、魔法使い系1名、僧侶系1名で、残りの1名の枠にどの職業を入れるかで、パーティの個性が出る。

●ミッションの受注:
 ミッションは公示され、ギルド単位で入札し、最安値を提示したギルドが受注する。
 ただし、ミッションには難度別にランクがあり、ギルドにも実績によりランクがある。
 ミッションのランクに対し、ギルドのランクが足りなければ入札に参加することができない。
 最安値を提示しなければ受注できないが、ミッションが成功しても赤字になるようでは、ギルドの維持が困難になるので、入札価格の決定には頭を使う。
 ギリギリの予算でミッションを受注した場合、ミッションを成功させる戦略の立案に頭を使う。
 またギルドのランクを上げるためには赤字覚悟で、受注しなければならない場合もある。
 ミッションに失敗すると、ギルドの信用が下がり、連続して失敗するとギルドのランクも落ちる。

●ミッションの種類と量:
 ミッションは、自動生成タイプと固定タイプの2種がある。
・自動生成タイプ;
 特定期間内に、指定のダンジョンに赴き、指定のアイテムを持ち帰る、指定の敵を倒すなどが目的として提示される。
 難度別にダンジョンの構造、敵の種類や数、目的などを組み合わせて、自動生成する。
・固定タイプ:
 宝物が手に入る可能性があるミッション30種程度は、固定のダンジョンで目的も固定。
 これらは、ランク以外に諸条件が満たされると発生する。

●協力プレイ:
 他のプレイヤーが操作するキャラとパーティを組み、同じダンジョンを攻略することもできる。
 NPCの仲間は、CPが担当する。十分に賢い思考ルーチンを搭載する予定だが、CPは人間のプレイヤーほど臨機応変、あるいは無謀な戦術はとれない。
 逆にいえば、パーティのうち何名かを他のプレイヤーが担当すれば、それだけで戦力が上がる。
 難度の高いダンジョンの攻略の際は、他のプレイヤーと協力すれば難度が下がる。あるいは、多少レベルが足りないミッションでも他のプレイヤーと協力すれば、戦術でカバーできる。
 そういうバランスを構築する。

◇B案:
●前提:
 B案も上記A案とシステムやゲームの目的は同じ。
 違いは、プレイヤーが小説「ログ・ホライズン」の主人公“シロエ”としてゲームに参加すること。

●コンセプト:
 シロエの職業は、付与術師(エンチャンター)。これは、「ログ・ホライズン」世界で最も人気がない職業で、得意は後方支援やトリッキーな魔法。パーティの他のメンバーの行動を活かす補助的立場、悪く言えば単独ではほぼ何もできない。
 プレイヤーをこの使いにくい職業に固定する意味は、単独では役立たずゆえ、ゲームを進めるためには他のキャラとの協力が必要になること。
 B案では、ゲーム内の他の交流や戦闘時の連携に重点を置き、システムを構築する。

以上