先日の“男前の舞妓さん”桂木陽(ひなた)に続き「鬼切り夜鳥子2 京都ミステリーツアー」の新キャラを紹介する。
荒木乱雅(らんが)は、主人公駒子、久遠のクラスメート。
口癖は「プリーーズ!!」
今回の修学旅行では、駒子、久遠、三ツ橋と同じ班に入っている。
参加の動機は、きわめて純粋にして不純である。
〈以下、小説から抜粋〉
荒木は、今年の春に卒業し今は京都に住んでいる女の先輩に恋こがれていた。
それも中学時代から、ずっと一筋。この高校を受験した最大の理由もその先輩に会いたい一心と言うのだから、そうとうな熱の入れようだ。
いわく「女神……、太陽……、ボクの天使、陽【ルビ:ひなた】さま~♪」なのだそうだ。
その憧れのキミ“陽さま~♪”が、たまたま駒子の従姉【ルビ:いとこ】で、駒子と同じ班に入れば、旅行中その先輩に再会できると密かに期待しての参加だ。
「今度こそ告白するぞ! ああ、やるとも、やってやるぜ! 神様、ボクにチャンスと勇気と幸運を、ギブ、ミー、プリーーズ!」
荒木乱雅は、鼻の穴を膨らませながら熱い胸のうちを久遠に打ち明けていた。
〈中略〉
しかし、成功確率は久遠のほうも荒木のほうも極めて低いと言わざるをえない。
まず荒木。軽口をたたきながら産道を抜けてきたような男だ。その荒木が陽先輩の前では、まるで喋れなくなる。症状が酷いときには呼吸さえままならないらしい。
もしも会えたからといって、この病状が治っているとは、とても思えない。