プレイヤーガイド

■行動宣言と外延近接戦の考え方

 さて、どうやって共通認識を作り、どうやってそれを成すか、というのがこのゲームの面白さ、戦略性です。
取り得る手段の多さを戦略性の高さとするならば、このゲームは最高の戦略性をもっています。
 もちろん、単に手段が多いからよいという訳ではなく、手段の多彩さにふさわしい行動をする必要があります。

 この章では、Aの魔法陣の面白さの引き出し方を説明します。

まず、共通認識の作り方の基本です。
人間誰しも、そう、SD含む参加者全員が、それぞれの認識をもってゲームに向かい合ってます。
 認識はそれぞれ違い、違うゆえに何か行動するたびに争いがおきます。争いとは文字どおり(いさか)いを示す時もあれば、軽い不満であるときもあります。
 常識だ配慮だをきかせて争いをとめても、原因は残ります。原因が残る以上は、破局するまで、たびたびこの手の問題が生まれます。

 これが、いけません。争うのも破局も、仲間割れも、いいことは全然ありません。ルールだ常識だとかで、ごまかすのはもってのほかです。

ではどうするか?
 認識の違いを全員が乗り越えるのが、唯一にして全部の答えです。
みんなが「しょうがねえなあ・・・じゃ、それでやりますか(笑)」と一致するのが一番だと思ってください。
 普通の生活では難しい限りのこの問題も、幸いこのゲームは、非常に簡単に解決しています。
 SDであればジャッジメントで、プレイヤーであれば行動宣言が、共通認識の作り方の全部です。それだけをやって、(通常のシーンの目的達成とは別に)共通認識をせっせとつくって行くと思ってください。

■共通認識作成の理論

 認識とは、人がどう思って感じているかをいい、共通認識とはその重なる部分を言います。具体的に言えば、このゲームでは認識とは言葉の意味の取り方であり、共通認識とは、共通の言葉の意味の取り方になります。Aの魔法陣が言葉遊びというゆえんです。

 このゲームにおける共通認識の作成とはSDとの言葉のやりとりで行われます。これを外延近接戦と言います。 名前の通り、遊びというよりも戦いです。
外延近接戦はSDの考え方や判断を中心にして、言葉をやり取りしながら自分の認識でずれている部分を修正して行くものです。他のプレイヤーに対して下した判断も認識の修正に使いますし、プレイヤーの行動宣言いかんによっては、SDすらも認識を合わせてくる可能性があります。
 認識が同じである場合、どの行動すればどうなるかは、自明の理になります。その結果としてプレイヤー全員が、究極的には同じ判断(最善の行動)を下します。これが、Aの魔法陣の完成形です。

ここで重要なのは

  1. 相手の認識を引き出す(聞き出す)
  2. 認識を修正して行動宣言する

というサイクルです。
 プレイヤーは積極的に外延近接戦を行い、その場での共通認識を早期に作る必要があります。(それがゲームの展開を有利にすることであり、目的でもあります)
目指すは、読心術者のごとく次々と相手の考えることを理解し、ベストと思われることを的確に行うプレイヤーです。これはすべてのTRPGにおいてのベストプレイヤーでもあります。

 Aの魔法陣は、ベストプレイヤーへの道を分かりにくくする全部の要素を取っ払って構築したゲームシステムです。プレイヤーは単に、

  1. 相手の認識を引き出す(聞き出す)
  2. 認識を修正して行動宣言する

というサイクルを念頭に置いて行動宣言すればいいようになっています。
 ルールを見て行動を決めるのではなく、状況をたずね、傾向を聞き、判断の方針を決めてください。

■難易度の概念と設定の使い方

この章で対策される問題点、疑問

  1. 常に成功要素は1d6のため、聖銃とおたまの強さが同じになる。

この、ありがちな勘違いは、主として難易度と成功要素の関係について勘違いするために発生します。
 理論的なことを長々と書くのは気が引けるので、百聞は一見にしかず、実際に動きを見て見ましょう。 難しい訳ではありません。実際にこのゲームを遊んだことのある方なら経験のある話です。

普通のキャラクター(例えばあなたの第6世界の同一存在です)が、以下の行為に挑戦したとします。

  1. 時速100kmで首都高速を走る。
  2. 時速5kmで下町の狭い路地を散歩する。

AとBに対し、あなたがSDならなんと難易度をつけるでしょうか。
おそらくAには無理な難易度が与えられ、Bにはひどく低い難易度がつくでしょう。

では、あなたが車に乗っているとします。アクセル踏めば2速で80km時は越えそうな、スポーツカーです。同じ行為の難易度はどうなるでしょうか?

おそらく先程と全く逆の難易度設定がされるはずです。
難しい、容易だという難易度は、その時の設定や状況に応じて相対的に決まるものであり、他ではありません。

 ゲームにおいて行動宣言の前に難易度が設定されていますが、行動のやり方で難易度が変るケースがあるのは、このためです。プレイヤーの行動によっては難易度設定の基盤そのものが動くことがあるのです。
これを、前提変換といいます。
(ヴァージョン2以降のAの魔法陣は、この部分を明確化するルールと、AーDIC形式の組み込み法が追加されています)

よって、

  1. 常に成功要素は1d6のため、聖銃とおたまの強さが同じになる。

は、前提変換を行う前提にない、つまりルールの誤用か、さもなくば実際にプレイしていないケースで頭の中だけで発生する問題になります。

 前提変換は難易度の変更だけを示す訳ではありません。同時に成功要素の抽出条件が変わる場合もあります。同じ折り鶴を作るという場合でも、極端に大きさが違えば(この場合、大きさに関連する設定)SDによって抽出されうる成功要素は全くことなる場合があります。

例: 人を驚かせるような折り鶴を作る。難易度3
あるプレイヤーは普通サイズの折り鶴を作ろうとした。この場合、成功要素は器用さや美的センスなどが抽出される可能性がある。
あるプレイヤーは20mの折り鶴を作ろうとした。この場合、成功要素は怪力などが抽出される可能性がある。
あるプレイヤーは1mmの折り鶴を作ろうとした。この場合、成功要素はルーペどが抽出される可能性がある。

○設定と状況の使い方

 先程のケースで見受けられた通り、このゲームでは他のゲームではパラメータのツマとして事実上のルール外で存在する設定と状況にも、ゲーム的に重大な意味が持たせられています。ルールブックで最初に設定を決めろとか、成功判定では設定を見ろと、そう書いてあるのはこのためです。
 普通のTRPGが、実際の判定において最も重要なのはパラメータであり、設定はフレーバー、すなわち雰囲気に過ぎないのに対し、このゲームでは全く逆になっています。パラメータがツマで、設定がメインです。

 ヒーローポイントで設定を変更する意義も、本来はそこに有ります。
設定一つ変えるだけで、以降の難易度設定基準は一気に変る訳です。

 ヒーローポイントを使わずとも、Aの魔法陣において、この設定や状況の違いによる難易度変化は一つの戦術として、良く使われます。プレイヤーはゲーム中の行動によって設定を変化させ、これに伴って難易度を変化させようという訳です。最も良く使われるのはゲーム中に訓練したとか、シミュレートしたというケースです。
プレイヤーはこれに限らず、不自然でない範囲の設定付与を積極的にするべきでしょう。 (これらにより、プレイヤーの手で伏線を張るというAの魔法陣らしい展開になります)

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