●推薦図書 2007年08月20日
「スキップ、リセット、ターン」と、北村薫さんの時間が飛んだり戻ったり系の三部作を、この週末に続けて読んだ。
スキップを読んだときには、正直「小説を書くのをもう読めようかな」と思った。
それほど面白かったし、自作との完成度や密度や温度の差を感じた。
で、三冊読み終えて「小説ってなんて面白いのだろう」と、ニタニタと笑い、なるべく早く「これくらい面白いものを書きたいもんだ」と漠然と感じるとともに、
「僕は意外とボジティブな性格だ」とも思った。
●それでも美人だとは思う 2007年08月25日
昨日、打ち合わせの帰りの電車の中。夜の8時過ぎだ。
立っている僕の前の席で美人が顔を上に向けて爆睡していた。
ちょうど僕の位置から奥歯の治療跡が見えた。
それほど口を大きく開けて寝ていたのだ。
文庫本を開いたが気になってしょうがない。
どうしてもチラチラ見てしまう。
鉛筆立てにできそうだ。
花瓶にもなりそうだ。
一匹くらいなら金魚も飼えるかもしれない。
切符なら何枚入るだろうか。
携帯電話も入りそうだ。
起きたとき、飴玉が口の中にあったらどんな反応をするだろう。
わさびはどうかな。
……とか、あれこれ20分ほど想像をめぐらせた。
これが中年オヤジの酔っ払いなら、僕は目をそむけただろうし、場合によっては移動したかもしれない。
さらに言えば「わさびと練りからしとおろしニンニクを1チューブずつ入れて、指でかき回したら、彼女はどんな悲鳴をあげるだろう。でもその拍子に指を噛まれてその傷にわざびやからしやニンニクがついたら凄く沁みるに違いない。で、僕は周囲の理性ある大人に取り押さえられ『だって美人が目の前で大きな口を開けているのだから、わさびの一本もいれてみたくなるじゃないですかあああ!!』などと警察で犯行に至った状況を喋る」とかそんな不埒な想像はしなかったと思う。
いや、まあ、わさびが手近になくてよかった。
僕が降りるとき、まだ最初の姿勢のまま寝ていたよ。
すっかり舌が乾いていた。
●ゲームのメッセージ 2007年08月27日
久しぶりにRPGの町の人のメッセージを書いている。
情報の漏れがなく、それらしく、速く書く、という効率のいい方法をすっかり忘れていて、ちょっと新鮮。
だいたいこういうのって思い出して調子が上がった頃にその仕事が終わっちゃうんだよ。
しかし、ゲームのメッセージの17文字×3行とか15文字×4行とか、定型の箱の中に読みやすく書くというテクニックって独特だよねえ。
書くというよりはレイアウトする感覚だもんな。
短冊に短歌をしたためてるのに近いかもしれない。
で、それをまた、決まった行数ずつボタンなりキーなりを押しながらプレイヤーは読む。
これは暗記用のカードに似てる気がする。
1枚につき1情報が大原則、というのも同じだ。
同じ情報でも書いた人の技量で、プレイヤーがボタンを押す回数が増えたり減ったり、読む速度もまったく変わるし。
おもしろいなあ。
僕の書いた小説の文章の組み方は、たぶんゲームのメッセージに似ている点が多々あると思うが、どうだろう。