桝田省治氏インタビュー


SpecialQ&A

桝田省治インタビュー特別企画! ということで、暴プリ掲示板にみなさんが投稿してくれた質問を、桝田さんに直接ぶつけちゃいました。 あんな質問やこんな質問、あああ、そんなことまで、いけません、いけませんわ、というような内容にも、桝田さんが本音でお答えしてくれています。

HOPE
桝田省治のお仕事部屋風景〜その4
桝田氏の好きなタバコ。仕事のお供。





サイトー:
ではさっそく、最初の質問から。「男性としては、『暴プリ』をどういう視点でプレイするのが望ましいですか? また、『暴プリ』は異性への贈り物として適していますか?」だそうですが。


桝田:
えーと、年齢にもよるな。30前後くらいで普通の社会人だとしたら、「中間管理職悲哀シミュレーション」として遊ぶってのがいいかな。ナンパな考え方としては、ルージュを異性として捉えて、自分の(女性への)許容範囲を広げるお勉強として遊ぶのもいいと思うよ。


サイトー:
異性への贈り物としてはどうでしょう?

桝田:
いやぁ、いいんじゃない。女性がコレもらったら、楽しめると思うけどな。男は男で、やったら元気が出るゲームだと思うよ。三石さんの声で尻叩かれまくるワケだから(笑)。


サイトー:
「何とかしなさいよ!」ですからね(笑)。

桝田:
でも「何とかしなさいよ!」って、モノ凄く信頼されてる証しだよ。向こうは「ナニをしろ」って具体的に言ってないんだもん。どうにかしてくれると信頼されてるワケだからね。


サイトー:
次の質問です。「いま、好きなひとはいますか?」……って、けっこう凄い質問ですね(笑)。


桝田:
普通、いるよねぇ。家族もいるし。


サイトー:

次、「発売は10月ですか?「秋」ですか?」

桝田:
10月末である可能性が最も高い。それより前はムリだ(笑)。


サイトー:
「今回の声優さんはどういった基準で選ばれたんですか?」


桝田:
けっこう、桜瀬さんのリクエストを優先してるよ。半分くらいはそうじゃないかな。桜瀬さんのイメージが確定してない場合や、実際に録るときに「AさんとBさんの高い声が割と似てるから会話にしにくい」とか、CDドラマにしたときに誰だかわかりにくいとかの理由で、メリハリをつけるためにキャスティングをいじったことはあったけど。でも、わりと桜瀬さんの希望通 りだよ。


サイトー:
桜瀬さんの意見をたくさんとりいれた理由は?

桝田:
僕、そんなにこだわりないから(笑)。もちろん決定する前に、その人の声のサンプルや過去の作品を見聞きはするけど、方向性がズレてなくて、技術があればOK。現場で苦労するのはイヤだから、ある程度技量 が高い人がいい、ってのはあるね。声優さんに対しても「こうしてください」じゃなくて、「プレイヤーにこう思わせたいんです。あと任せます」ってのが多いんだよ。


サイトー:
じゃあ、いきなり話が飛ぶんですけど、「娘さんを目に入れても痛くないと思いますか?」


桝田:物理的に? 目に入るワケないじゃん(笑)。


サイトー:
(笑)次、「娘さんが初めて暴プリをプレイするとき(何年後の話だ)、桝田さんはそばでプレイを見ていますか? それともどこかに行ってしまいますか?」

桝田:
見てるだろうね。彼女のために書いた話だしな。


サイトー:
じゃあ次、「サイトーさんは好みのタイプですか^^;;」って……

桝田:
あ〜、好みのタイプだよ。


サイトー:
あああ、ありがとうございます(笑)。

桝田:
ホントホント、凄く好みのタイプ(笑)。化粧栄えする顔だよね。


サイトー:
ケバくなりやすいんですけどね。(はぁ……)


桝田:
それも含めて(笑)。いろんな表情がある女性のほうが楽しいよね。


サイトー:
桜瀬さんは「桝田さんは気が強いタイプの女性が好きだ」って言ってましたよ。わたしもそう思いますっ(笑)。

桝田:
必ずしもそうでもないけど。気が強いというか、自分がやりたいことをちゃんと主張できる人が好ましい。イヤなのは、メシ食いに行って「じゃあ私も同じモノ」っていう女。好きなモン食えよっての(笑)。


サイトー:
じゃあ次の質問。「初めて『自分がお金を出して』買ったゲームはなんですか?」


桝田:
何だろう……。コレ、二種類あるよね。自分個人のお金で買ってるか、経費で買ってるか。


サイトー:
あえてカギカッコで『自分がお金を出して』ってなってますから、個人のお金でしょうね。


桝田:
うーん……私費だと、ないかもしれない。自分がやりたくて買ったということであれば、光栄(現:コーエー)のシミュレーションだと思う。どれだかはもうわからないんだけど。


サイトー:
それはまた何で?


桝田:
単にそこから入ったから、好きなんだよ。『桃太郎伝説』を作ってるときに、さくま(あきら)さん家で、『信長の野望』をさんざん遊んだんだよね。当時は、さくまさん家にあるようなゲームを遊ぼうと思ったら、パソコンから何から全部そろえなきゃいけない頃で。その頃はまだサラリーマンだったんだけど、当時のパソコンってやたら高かったなぁ……。あ、それで思い出した! MSXなら安かったから、MSXパソコンと一緒に光栄の『信長の野望』『三国志』と、『大戦略』(システムソフト)を買って遊んでたなあ。その後も、自分で遊ぼうと思って買うのはそういうタイプのゲームだよ。


サイトー:
徹底的にシミュレーション派なんですね。

桝田:
うん、僕には物語は要らないから。命令されるの嫌いなんだもん(笑)。あっちへ行けとかこっちに来いとか、大っ嫌い。アドベンチャーもほとんどやらないし。まぁ、子供に頼まれてアクションゲームとか買うこともあるけどね。


サイトー:
桝田さん、そんなんじゃ『シェン●ー』遊べないよ……(笑)。ってことで、次の質問。「ワタシは見た!! ○○さんの本性!」○○さんは誰でもいいそうです。

桝田:
……言えないネタばっかりだなぁ(笑)。それって僕のフィルタが入るから、本人が気づいていないようなこと言われるのもイヤだろうし。僕、けっこうプロファイル能力高いんだよ。


サイトー:
(笑)それって、ある程度仲良くなってからわかるモノなんですか。

桝田:
それもあるけど、その人が繰り返し使う接続詞とか形容詞からもタイプがわかるんだよね。例えば僕の言葉って、「例えば」とか「要するに」が多いんだよ。これって「どうせ僕の言ってることわかってくれないよな」ってのが前提なんだよね(笑)。あと「ここで大事な要素が3つある」なんて口ぐせもあるけど、これもわかってくれないであろうモノを一所懸命伝えるためなんだよねぇ。


サイトー:
それは「桝田さんの意外な本性」なワケですね(笑)。他に、誰かの話ってないですか?


桝田:
あ、桜瀬さんが合気道をやってる、ってのはちょっと意外だったな。


サイトー:
そーですか?合気道、わたしも習いたいけどなぁ。んじゃ次の質問。「暴プリ制作時、ネタ(特にギャグ系)に困ったときは何をして気分転換しておられるのでしょうか?」

桝田:
ギャグ系のネタは、困らないんだよ。ただし、書くのに勇気が必要で、他のネタよりもよく吟味しないといけない。ちなみに気分転換は、昼寝。皿洗いとか布団干したりとか、家事もするね。


サイトー:
次、「キャラの性格は、物語における役割から決めたのですか、それとも外見を含むイメージから決めたのですか? もしくはもっと他のものから決めているのでしょうか?」


桝田:
全部、だね。どれかということは特にない。ただ、外見にはあまりこだわらないから、あえて言えば、テーマかな。キャラの位 置付けって、テーマを達成するための手段のひとつだよね。『暴プリ』のキャラの構造で、一番参考にしたのは藤子不二雄先生の『パーマン』。


サイトー:
『パーマン』ですか!?


桝田:
『パーマン』って、若い人は知らないかもしれないけど、主人公はただの小学生の男の子で、普通 の象徴。二号はサルで、体に毛が生えてるとか言葉が喋れないとか、人間に似て非なるモノ、要は一番下の存在なんだよね。で、三号が女の子で、小学生にとっての憧れであろう、芸能人。トップだね。四号が、価値観の違う関西人で、異文化の人なんだよ。この『パーマン』の構造って立体感があって、すっごくよく出来てるんだよ。


サイトー:
まさか今日、『パーマン』の構造がよく出来てるなんて話を聞くとは思わなかったです(笑)。


桝田:『ドラえもん』もよく出来てる。ジャイアンは体力で優位 を持ってる人、スネ夫はお金を持っている財力の人、とか。ドラえもん自身は、最初の頃から比べると、だんだん立場が変わってきてるんだけど。読者が求めるドラえもんになっていっちゃってるんだよね。最初は何だかわからない異分子で、これは『怪物くん』も『オバQ』もそうだった。今のドラえもんは“いい人”で、母性の象徴みたいになっちゃってる。


サイトー:
ちなみにパーマン五号はナシですか?


桝田:
五号は赤ん坊だっけ。アレは、僕は失敗してると思う。たぶん、二号や三号の存在が主人公に近くなり過ぎちゃったから、それぞれが持ってた特長をもう一度出すために赤ん坊を出したんだと思うけど、ちょっと失速してるよね。『水戸黄門』の最後のほう(注:今の石坂浩二版になる前)みたいになっちゃってる。役割分担が増えすぎちゃって。助さん格さんまでが偉くなりすぎて、もともとの「ドジ」「女に弱い」とかの性格付けを下のキャラに降ろしていくことで、グチャグチャになっちゃったみたいに。


サイトー:
次の質問、「声のイメージは、キャラ絵の前から決まっているものなのでしょうか?」

桝田:これは、ない(キッパリ)。


サイトー:
「今回のシステムが決まるまでに、ボツになったものも多いと思いますが、1ゲームにおいて、(システムの案は)おおよそいくつボツになるものなのでしょうか?」


桝田:
さあ?(笑) でも『暴プリ』では、そんなに大きなボツはないと思うよ。方向性がハッキリしてるゲームだからね。ただ戦闘周りに関して「なるべくシンプルに」というオーダーを出してたんで、アルファのほうで自主的にボツにしたものはたくさんあると思うけど。


サイトー:
次、「今作はPS2環境でのソフト制作だったワケですが、PS2の性能と容量 で、ゲームを制作しやすくなった、と感じたでしょうか?」


桝田:
いや、特には感じない。ただ、容量は増えた。今までのメディアだったら“暴プリ”は絶対に入らないよ。今でもDVD一枚に収まるかどうかで四苦八苦してるくらいだから。


サイトー:
「逆にここがちょっち不満、と思った事はありませんでしたか?」

桝田:
まだできてないから何とも言えないけど、現状のバージョンだと読み込みが若干遅いかなぁ。


サイトー:
では次です。「子供の頃、何かコレクションしていたことはありますか? あるいは、何に凝っていましたか?」


桝田:
まぁ、普通だよ。みんなが面白がっていたモノで、仲間に入りたくて一緒に集めてたことはあるよ。


サイトー:
例えば?


桝田:

うーん、切手とか、メンコのたぐいとか。ビー玉集めてたこともあるよ。なぜか、牛乳のフタを集めてたこともあったな。それをメンコみたいにして遊ぶんだよね。


サイトー:
自分が好きで集めてたものってありますか?

桝田:
どうかなぁ。大人になってからは、少し集めてたモノもあるけど、本格的に集めてたわけじゃないなぁ。根気ないし。


サイトー:

では次。「どうにも腹の立つことがあったとき、でも、適当な怒りのやり場がないとき、どうやってそのウップンを解消しますか?」


桝田:
まず、怒ることはほとんどない。怒ってるヒマがあったら、解決することを考えたほうがいいから。だから、矛盾したことや理不尽なことがあった場合は、すぐに解決の方法を考えるよ。いろいろ考えたうえで、構造的に解決法があり得ないと思ったら、すぐにあきらめちゃう。別 に怒ることはないな。


サイトー:
次です。「これは笑える! というお気に入りのギャグを一つ教えてください」。


桝田:
お気に入りのギャグねぇ……。ギャグっていうより、構造的に面白い話が好きなんだよ。「AであるならB、BであるならC」って話があって、一見論理的なんだけど、実際には「AであるならC」が成り立たないとか、そのテのヤツが好きかな。


サイトー:
「パソコンゲーム以外で、好きなゲームを一つ教えてください」。

桝田:
まず、その前提がちょっと間違ってる。僕はゲームをプレイするのがそれほど好きじゃないからなぁ。この質問をした人に注意したいのが、「思い込みはモノ凄い判断ミスを起こすことがあるぞ」ってことだな(笑)。ゲームデザイナーは当然ゲームをプレイするのが好きだってのは、単純に思い込みなんだよね。


サイトー:そう思う人は多いですよね。

桝田:
まぁ別に嫌いってワケじゃないけど。さくまさん家で遊んでた頃は、シミュレーションが面 白かったワケだしね。でも、それも構造がわかっちゃうと、そんなに面白いモノでもなくなっちゃったけどね。


サイトー:
なるほど。とりあえず、みなさんからの質問はこんなところです。長々と答えていただいて、どうもありがとうございました〜。

桝田:
しかし、質問されて文句つけて返すってのもヒドい話だよな(笑)。


サイトー:
桝田さんがそーゆー人なのはみなさん知ってますからOKです(笑)。




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