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夢二題
桝田 省治

●どこまでが夢だ? 2009年02月27日

 僕は中学生で、修学旅行中の写真が中学校の掲示板にいっぱい貼りだされていた。
 見れば、一枚百円もした。
 帰宅後
「スナップ一枚百円だってさ。あこぎだよね」と母親に話したつもりが、なぜか話した相手は妻で、
「なに寝ぼけてるの? あなたは49歳で中学生じゃないよ」と言われた。

 ――というところで、目が覚めて、そういえば
「次男の修学旅行費の振込みが確か今日までだったよなあと、気にしながら寝たから妙な夢を見たのだろう」と気づいた。

 ――というところで、もう一度目が覚めて
「どこまでが夢だ?、というタイトルで日記を書こう」と思った。

 ――というところで、さらにもう一度目が覚めた。
          ↑今、ここ。

 これは、どうやら夢じゃないらしいが、確たる自信はない。

 で、時計を見たら13時半。
 あ、次男の修学旅行費、振込みに行かなきゃ!
 うわっ、雪が降ってるよ。


●10年間隔で進化する夢 2009年03月17日

 繰りかえし見る夢がある。
 空中を遊泳する夢だ。
 この内容が緩慢だが、少しずつ不思議なことに進化している。
 10代の僕は、夢の中で車や建物を信じがたいジャンプ力で飛び越すことができた。
 20代に、大きくジャンプして落下する際、手を広げることで滑空する術を徐々に覚えた。
 30代では、滑空時間が長くなり、路面をスレスレに滑空したり、その状態で方向転換することができるようになった。
 だが、まだ「飛ぶ」ことはできなかった。
 飛べるようになったのは、40代になってからだ。
 路面を滑空している状態で、道を押すように手を動かすと、少しだが浮上することを発見した。
 これを繰りかえすことで飛び続けることができた。
 が、滑空の途中で再浮上するのは、力の加減が難しい。
 弱いと失速して着地してしまうし、強すぎると空中で身体が反転してしまい、やっぱり失速して落ちるのだ。
 だから、力の加減に神経を使って、飛ぶことが楽しくなくなった。

 今朝の夢で、ついにバランスの悪さを克服した。49歳の春だ。
 なんと空中遊泳の師匠が夢の中に現れたのだ(笑)。
「両手に水の入ったやかんをぶら下げているイメージを持て」と僕に助言してくれた。
 最初は上手くいかなかったが、徐々にコツをつかみ、空の高いところまで気分よく昇れた。

 この調子なら、僕が死の床で見る夢は文字通り「昇天する」夢だろうと目が覚めたときには直感したが、それじゃああまりに捻りがなくてつまらないかと今は思う。

推薦図書2
桝田 省治

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●双頭の鷲 佐藤賢一著

「傭兵ピエール」が面白かったので、続けて同じ作者の代表作を読んでみた。
 こっちのほうが面白いな。
 というか「えへ、えへ、えへ」とか品のない笑い方で、馬糞を鷲づかみにするメチャクチャなキャラを“英雄”にしようと思いつき、実行した時点で、エンターテイメントとしてはもう勝ちだろう。
 ちょっと反則くさいが、面白ければなんでもアリだ。
 しかし、これ、フランス人が読んだら、どう思うんだろうね。
 たとえば、源義経や坂本竜馬が、実は、「えへ、えへ、えへ」とか品のない笑い方で、馬糞を鷲づかみにする人物だった……とフランス人が書いたら……。

 あ、面白いね、ぜんぜん問題ないや。


●狐笛のかなた  上橋菜穂子著

 人外や超能力者が多数登場するわりには、驚くような仕掛けもない収まりのいい話だ。
 ポイントは、ストーリーよりも郷愁を感じる世界観だろうか。
 空気がとても心地いい。
 こんな和の世界観の中で暮らせるゲームならプレイしてみたい。
 昨今のゲームは、海外市場を念頭に置いた企画しか通りにくい傾向にある。
 が、こういうしっかりした背骨がある和の世界感のほうが、むしろ世界に通用する気がする。
 それと、献身的に働く健気な狐の使い魔。
 僕も、夜鳥子2巻から準レギュラーで出したけど……やっぱカワイイよ。