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明日発売、ハルカ 炎天の邪馬台国!!
桝田 省治

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 気の早い本屋さんの店頭にはもう並んでいるんじゃないかと思います。

 いくつか苦労話:
 その1.
 前後編として続いている話を時間をおいて書くことの難しさを知りました。
 前作天空編を読んだ方はご承知と思いますが、ストーリーの展開スピードが早く、登場人物の熱量が高い。
 ようするにかなりのハイテンション。
 このテンションに僕の精神状態をもう一度もっていくのが思いのほかしんどかったです。

 その2.
 気分をハイテンションにするだけならさほど大変ではなかったかもしれません。
 が、放置したままの伏線を回収するという理詰めの仕事も、ハイテンションを維持しつつ、同時にこなさなければなりません。
 実は前作で放置した伏線のうちいくつかは、回収の方法を考えず「だってそのほうが面白い」というノリだけで書いたものでした。
 また回収方法を大雑把にイメージしていたものの中にも、ハイテンションで書いたゆえに、あとから考えると矛盾だらけというものも多くありました。
 脳の半分をホットに残りの半分をクールに保つというのは、言うのは簡単ですがなかなか難しかったです。

 その3.
 鬼切り夜鳥子のほうは、巻を追うごとに、書き始める前にわりとしっかりプロットを起こし、資料もそれなりにそろえて書くようになりました。
 が、ハルカのほうは緻密さより勢いやライブ感を大事にしたいので、本作でもあまり事前の準備をしませんでした。
 ということは、ストーリーが軽快に進んでいるときはいいのですが、主人公が危機に直面し「うわッ、どーしよう!?」と悩んだ瞬間、僕の筆も止まるのです。
 この書き方、ある意味書いてる僕もハラハラドキドキで面白いのですが、身体に悪いのでもう二度とやりません。

 前作を読まれた方の期待どおりの仕上がりになっていると思います。
 楽しんでいただけると幸いです。

ハルカ 炎天の邪馬台国 見本誌到着
桝田 省治

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 発売まで残すところ1週間ちょっと。
 見本誌が自宅に到着しました。
 また辞書並みの厚さです。
 電車の中で読むには向きません。

 数ヶ月ぶりに読み直してみましたが、ちゃんと面白かったので、前作が面白かった方は安心してお求めください。
 あ、巻末の佐嶋さんのイラストギャラリーは、校正のときにはバラバラで見たのですが、まとまるとけっこうなボリュームでした。
 これ、そうとうお得感があります。

 突然ですが、【ネタバレ】をひとつ。
 炎天編では、前作天空編で「もう会えない」と主人公ならびに読者が思っていたキャラが再登場します。
 再会したとき、主人公は、そのキャラを覚えているので「えっ! うそ?」と驚いたり、感激したりするわけですが、読者は覚えているとは限りません。
 いちおう、「***とは***をした仲」だと主人公に回顧させてはいますが、主人公と同じテンションで驚いたり感激したりしたい方は、前作天空編を軽く読み直しておくことをお勧めします。
 各章の扉絵を見て主要登場人物を思い出し「この中の誰と再会するんだろう。ワクワク」と想像するだけでもいいです。

 ところで「ハルカ 炎天の邪馬台国」のアマゾンの予約ページにやっとジャケットの写真が入りました。
 現在のランキングは、Amazon.co.jp ランキング: 本で938位。
 まだ発売を知らない方が多いようです。
 ご自分のブログなどで「ハルカの後編、11月6日発売するよ」とご紹介いただけると助かります。

 あ、ニュースをもうひとつ。
「鬼切り夜鳥子5巻 禍★星に願いを」書き終りました。
 今、佐嶋さんは4巻のジャケットを描いているはずです。
 ちなみに4巻のジャケットは、駒子でも夜鳥子でもありません。
 いやまあ、男じゃないのでご心配なく。

子供の頃、怖かったもの
桝田 省治

 勧められたので、次は児童書を書く予定だ。
 コンセプトは「怖くて子供が読めない子供向けの本」。
 ということで、僕自身が子供の頃、怖かったものを思い出してみた。
 書き出してみるとなかなか笑えるので、ここに転載しておく。


 子供のとき怖かったものと言えば、靴、手袋、股引、長袖のシャツ。
 ようするに人の形、それも人の身体の特定部分だけが想像できる物、アレが怖かった。
 パンツやランニングシャツは平気だったけど。
 縁側があって、天気の悪い日はそこが物干しになるんだけど、白い長袖のシャツが何枚も干してあるのを、寝ながら暗がりの中で見上げるのが一番怖かった。

 あとはやっぱり天井の染み。
 小学生の頃住んでたうちの天井には明らかに人の足跡と思える染みがあったな。
 たぶん家を建てているときに大工が裸足の足を乗せてて、その後、足の裏の雑菌が湿気か何かで木材を変質させたとか、そんなとこだと思うんだけど、でも不気味だった。

 それと三面鏡を覗きこむのが怖かった。
 別の世界があるような、自分が実は何人もいるような、いくつも映っている自分の顔のひとつだけが笑っていたらどうしよう、とか。

 小さな蜘蛛や蟻が寝てる間に耳の穴から入ってきたらどうしようってのもあったな。

 あと、冷蔵庫に閉じ込められたらとか、シャワーが熱湯だったらとか、押入れを開けたら小さな子供が座っていたらどうしようも考えたね。

 お風呂の水が止まらなくなって、かつお風呂のドアが開かなくなったらどうしようも考えたことがある気がする。

 ああ、あと、寝てるときにトラックが飛び込んできたらどうしよう。
 雷が落ちたらどうしようもあった。

 起きたら、両親や妹が死んでたら、これも考えたな。

 そういえば、うちの食卓の椅子の背もたれの外側に、マジックで顔を書いたらえらく叱られて(当たり前だ)、その顔のある椅子に追われる夢を見たことがある。

 障子に映る影もけっこう怖かった。庭の木かなんかだろうけど。
 そういえば二段ベッドの下に寝ると必ず、上のベッドが落ちてきたらどうしようって考えたなあ。

 歯磨きを忘れて寝床に入ったときには、口から虫がわく夢も見たな。

 蛇口を捻ると赤い水が出るという想像。
 錆まじりの茶色い水が出るというのは、夢でもなんでもなく当時は普通にあった。しばらく水を出しっぱなしにしてからじゃないと飲めない。口に入れてから「ウゲ」ってなることも多かった。

 壁の染みや映った影が全部、虫に見えた頃もあった。

 爺さん婆さんの家に行くと、僕から見れば4代くらい前の先祖の写真がいくつも飾ってあった。あれも怖かったな。

 それと家庭科で雑巾だか袋だか忘れたけど、それを作ってるときに針を一本なくして、畳の中に入ったような気がして、いつか歩いてるときに刺さるとビクビクしてた。

 彫刻刀もだ。散々注意しなさいと脅されたからだろうけど、机の上に置いてあっても、今で言えばピタゴラスイッチみたいに何かの拍子にころがって飛んできたりしないかと心配だった。

 ああ、そうそう。
 スイカの種を飲み込んだときには、身体中から芽が出る想像もしたね。

 あと自然発火する人間なんてのをテレビで観たら、いつか自分もそうなると思い込んでた。
 自分以外がいつの間にか全部宇宙人もあったな。

 お風呂の洗い場の隅に溜まってる母や妹の長い髪というのも、不気味だった。

 幼い頃の家は平屋ばかりだったけど、他人の家の階段は確かに怖かった気がする。昔の家の階段って今より幅が狭くて急だったよね。子供心にそう思ったんだから、傾斜はともかく幅は相当狭かったんだと思う。

 ベランダなんて洒落たもんはなかったけど、昔の家の木のサッシや手すり、囲い、みんなやわだった。
 あんしんしてもたれられるもんなんてなかったな。

 汲み取り式の便所は、ニオイも構造も怖かった。大便器の中をのぞいても、その上に木の床が張ってあるだけの上に自分が載っているということも怖かった。

 そうそう縁の下も嫌だったな。
 子供の頃は見たことがなかったけど、天井の裏も子供が見たら怖いんだろうなあ。
 自分のすぐ頭の上に誰もいないけっこうな広さの闇に閉ざされた空間があるんだもの。

 昔って、白骨死体が埋まっていそうな土壁がそこらにあったな。

 ああ、家の中に見えない猫がいるという妄想に取りつかれていた時分もあった。
 机の上から自然に消しゴムでも落ちようものなら「ドキドキ」だよ。

 爺さん婆さんの家の天井は、やたら木の丸い模様が目立つ木材で、たぶんそのころ妖怪百目とかそういうのをTVか本でみたんだろうけど、その天井の丸い模様が全部目で自分を見ているというろくでもない想像をしてどんどん目がさえて眠れなくなった。

 雛人形の鼻だか指だかがかけてるのが一体あって、それを母親がネズミがかじったに違いないとか言ったもんだから、僕もいつか寝ている間にネズミに鼻や指を食いちぎられるかもしれない、とか考えてたこともある。

 ……けっこう覚えてるもんだね。


 この児童書の理想としては、読んだ子供が大人になってもう一度読んだときに、子供のときにはわからなかった怖さに気づくくらいの重層的な仕掛けがほしいと思う。
「ちょっと待て。ということは、***って、すでに***のときには死んでるってこと?」とか
「AとBって別の人のように書いてあるけど、もしかして同じ人? え、だったら、これは***が***する話? うわあああ」とか
 そのへんだ。

アマゾンで予約開始しました
桝田 省治

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ハルカ 炎天の邪馬台国 (単行本)
桝田 省治 (著)
価格: ¥ 1,890 (税込)

出版社: エンターブレイン (2008/11/6)
言語 日本語
ISBN-10: 4757744544
ISBN-13: 978-4757744547
発売日: 2008/11/6
Amazon.co.jp ランキング:
きのうの夜は、2,629位で
今見たら、1,551位

 ということです。
 初めて価格を知りました。
 たぶん前作の天空編と同じ……だよねえ。
 あ、ということは厚さもまたきっと『3.6センチ』だ。
 また辞書です、辞書。

 前作の最高ランキングはデータによれば、確か何回目かの重版のときの166位。
 瞬間的でいいから同じくらいまでいってほしいな。

 あ、そういえば、天空編が重版だそうです。
 もう何度目かわかりませんが、今回は炎天編を書くときに見つけた校正ミスをなんと10箇所近く直しました。
 なぜかわからないけど、南北や上下、前後は間違えないのに東西と左右の表記をよく間違えるんだよねえ。
 だから僕が書いたRPGの町の人の方向指示の東西に関してはあまり信用しないほうがいいよ(笑)

 ☆☆☆目指せ、165位キャンペーン☆☆☆

 上記のジャケット写真とタイトルと発売日、日記や外部のブログ等の片隅になにかのついでに貼っておいてくれると助かります。
 青いほうが前編「ハルカ 天空の邪馬台国」
 赤いほうが後編「ハルカ 炎天の邪馬台国」

●個人的見所:
 炎天編は、実は二部構成だ。
 前半は、天空編のその後というか「新女王壹与」の話。
 後半は舞台が現代に飛ぶ。
 で、見所なんだけど、最後の30ページくらい。
 ページの厚さで言えば残り数ミリ。
 たぶん読者は、この残り数ミリで、
「何がどうなればこの話は終わるんだ!?
 終わらねーだろ、これ、大丈夫かよ!?」
 と、まあ、ページ数や価格を決めなきゃならない編集者のように焦ると思う。
 そこからのたたみかけが凄い!!
 全日本広げた大風呂敷たたみ選手権入賞間違いなし。
 自分で言っちゃう(笑)

ハルカ 炎天の邪馬台国 ジャケット
桝田 省治

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 発売予定日は、来月11月6日。
 一応粗筋も書いてありますが、天空編の完全な後編なので、天空編を読み直しておくと、すんなり入れると思います。
 あと、巻末にけっこうボリュームのある佐嶋さんのイラストギャラリーがついてます。
 名前のあるキャラはだいたい網羅してると思うので、マイナーなキャラのファンの方はお楽しみに。

 で、天空編に重版がかかると店頭には、「青ハルカと赤ハルカ」が並ぶわけです。
 ブログなどで紹介する際は「青ハルカと赤ハルカ」並べて載せてね。