神々の宴

■神々の宴用語集

馬神

 生物神の一つ。馬の神。武者を象徴する神の一つで、本来戦うことを好む性質ではないが、武者と共に戦場に出るとされる。(ゆえに戦いに出る者に献上されることもある)
大変美しく、駆ける速度が速い。
忠義では犬神に劣らず、兵と共に死んだ馬たちについては共に葬られ、祭られることが多い。

牛神

 生物神の一つ。牛の神。古来三国で聖なる生き物とされ、大切な財物として扱われてきた。武者でない貴顕、つまり学者や碩学の乗り物として知られ、温厚であるとされる。
力が強く、男性の象徴としても扱われる。なぜか洋の東西を問わず、海、水に関連することが多く、海の神の一つとして扱われ、仲の良い神々も水に関連する神が多い。

河童神族

 概念神の一つで、河に流れ込む水の神を言う。なじみやすいとされるほど、数が多く、その昔は人と相撲をとったりした。相撲取りが相手でもない限り負けない力を持つ。
つまるところ上手なアマチュアくらいの力もちで、こういう所でもなじみやすい神である。

割と人間に惚れこむ事が多く、自分が、あまり頭が良くないと自覚することもあって、学者や碩学には非常に弱く、相談しにきたり、こき使われたりする。

式神

 道具として使われる神のこと。
つまりは人知を超えたものを人が使うことであり、分りやすく言えば世間一般で魔法と呼ばれるものがこれにあたる。
一般には概念神が式神として使われるが、元が神である。扱いに失敗し、反逆されて痛い目にあう者も多い。
式神に使うのは紙であり、これは紙がかみ、神に通じる故の類似魔術である。
紙を折って神の似姿を与え、概念を吹き込んで式神とする。

類似魔術

 似ているものは互いに関係する、ゆえに似ているものを扱うことでそのものに効果を表すという魔術原理に基づいた魔法。
双子が互いの意思を分かり合うなどは、この例である。仲が良い夫婦が相次いで死ぬ場合もこれにあたる。
姿形だけでなく、名前や言葉にもこれはあてはまり、力の大小はあるにせよ、似ているものは効果・性質も類似するという素朴な理論である。
この理論を逆説的に実践したものが類似魔術といえるだろう。

名前の掟

 物事の真の名前を知れば、類似魔術を行使できるという古い魔法理論。
今もそれと知られずに広く実践され、生き続ける理論である。
名前を与える(探し出す)のは古くから権威を持つ魔術師が行うとされる。が、同じくらい古くから、知ったかぶりの素人が名前を与えようとする。
神の名を知っていれば、言葉遊びから神々を呼び出し、盟約を結ぶ話し合いをすることも、あながち出来ないことでもない。
もっとも神の名は非常に分りづらく出来ていたり、長かったり、秘められていたりするので、そうそう分るものではない。なお、名前を尋ねるのは万葉集にあるとおり、結婚を申し込むのと同義である。

坂神

 概念神の一つで、坂の神。坂道にいる神で、多くは自然と交通整理をしている存在がなることが多い。
坂道には神話の時代から霊魂が歩くとされ、うつむいて坂道を歩く者に気軽に話しかけてはならないとされる。この、うつむく者に話しかけようとする者に注意を与えるのもこの神の役割である。 時折、地域住民のために活動するなり夢枕に立つなりすることがあり、こうした例はお話として散見することが出来る。

石神

 概念神の一つで、石の神。奇妙奇天烈な石はそれだけで石神になるとされる。
石の色や形でその性質は決まる。石神専門の審神者が見つけ出すことが多い。
触れることで神がかりになる、つまりはご利益があるとされ、幸運をもたらすもの、勇気をもたらすもの、疲れを癒すもの、平穏をもたらすものなどが好まれる。
稀に神造りで神となっている石もある。
 元の性質から、よほど神格が高くなければしゃべったりはしない。

神造り

 神を人工的につくる方法。一般には材料を加工して概念を吹き込み、神とする。
狙って行うことは禍々しい行いとされるが、偶然の場合、特に問題となる行為ではない。
偶然人知を超えるケースで咎を受けていたら、今頃世界人類は滅びているためである。
 神造りの中には、同族をあい争わせる悪しきものもあるが、そうでなく、普通の生産活動で行われる場合もある。石神や神剣がこの例にあたり、宝石をカットしたり磨いたりする職人、絵を描いたりする者、音楽家は、それだけで、あるいはそれと知らず神を作り上げてしまうときもある。
 こうして偶然生まれた神が多くを狂わせることは神話の類型の一つであり、常々注意する必要がある。

神剣

 概念神。刀鍛冶が作り上げた刀、あるいは剣が神となったもの。刀と剣の違いは片刃、両刃であるとされるが、神話では剣が祭礼に使うもの、刀は実用品という一般的な区分がある。
魔剣、聖剣とされるものは神剣、つまりその刀そのものが祭礼に使用出来うるほど美しく、人に影響を与えうるものである。
神剣は使い手や見るものに命令を与える一方で、使い手に強力な戦闘能力を与える。

鏡神

 概念神の一つで、鏡そのものである神。未来や真実を映すものであり、この力は為政者にとって何より重要なものとして、良く献上され、祭られた。
 元の性質から、よほど神格が高くなければしゃべったりはしない。
時折人を惑わし、人を鏡の中の世界に陥れる時がある。鏡の中の世界は不思議の国である。

花神

 花の神。小神族よりもさらに小さな神で、その大きさは一寸ほどと言われる。
美しく、恋多い神で、良く人に恋してこれを助けるために冒険を開始する。
花神は山の中で花神の郷を作って暮らしているとされる。そこに迷い込んだ旅人は花神にされるとされ、最悪、花神が乗り込む人型兵器にされることがある。生命の神秘を知るらしく、大きくなることも小さくなることも出来るという生命の秘薬の在り処を知るという。
 小さいことで見つかりにくく、勇気については、誰にも負けない。

 元は隠、と書き、死者のことを言った。幽霊みたいなものである。概念神の一つ。
方位学、風水が発達する過程で丑寅を死者の方向とし、もって牛の角、寅の毛皮の衣服をつけているものとした。元は黒く、一つ目の存在である。
本質的には死者としたい者、異形のものを言う。暗殺し損ねた者が傷を受けて現れた時、鬼が出たと言うわけである。捨てられた赤子が山の神に拾われ、鬼となるときもある。
異形こそが鬼の本質であり、強大な力の源泉であり、世を拗ねる理由である。
稀に、世を拗ねていない鬼がいるが、これは大変心根が優しいといえよう。普通であれば何もかも恨んでも仕方ないのに、そうしないのであるから、偉大と言ってよかろう。

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