SF小説はわりと読むほうだが、とくにSFマニアというわけではない。設定が複雑なもの、科学用語が山のように出てくるもの、すぐに投げてしまう。
なので、SF小説としてどうなのかは、僕にはわからない。
が、本作は、エンターティナーとして、というか「ホラ吹き」としての小川一水のレベルがいきなり3つも4つも上がったと感じた。
深夜にくだらないダジャレをひとりで呟いている男が書いたとはとても思えない(笑)。
1も2も既存の秩序が崩壊し世界が大いなる危機的状況に転落する様が描かれている。
が、そこに登場する人物の多くは、したたかで懸命に運命に抗おうとしている、かつ優しい人たちだ。
そして伝染病の話なのに、スケベ。
素晴らしい!
未だ話がどう動くのか、読者をどこに連れて行こうとしているのかさっぱり見えない。
さらなる「大ボラ吹き」「スーパー大ボラ吹き」へのレベルアップを切に願って、続巻を期待する。