数か月、本業が暇になりそうなので、この隙にラノベを1本書こうと思う。というわけで、とりあえず企画のイメージスケッチを始めた。
●ラノベ企画「虫オンナの恩返し」
○趣旨:
ようするに「鶴の恩返し」あるいは「人魚姫」など、人外の女が人間の男に恋し、人の姿になって現れその男につくす……それの「虫」版。
本作のポイントは、男のもとを訪れる女が、鶴とか人魚とかイメージが美しい生き物ではなく、生態が人間とはかけ離れた「虫」であること。
見どころは、3つ。
1.虫オンナ本人は、惚れた男のためによかれと思ってやることがことごとく“虫の価値観”“虫のルール”ゆえにずれる。
場合によっては、男の生命すらも危機に陥れる。
その哀しくもおかしく、ときにグロテスクだが、虫オンナ本人は必死な様。
2.虫オンナは、元が「虫」なので人間にはないさまざまな能力を備えている。
この超能力を虫オンナがどの場面でどんな風に使って、男を助けて状況を逆転するか。
3.虫オンナに振り回されつつも、虫オンナの思いを知り、徐々にその生態にも慣れ、果ては虫オンナとの奇妙な生活を受け入れていく、優柔不断な男の変化。
○主人公と舞台:
現代。主人公は、うだつの上がらない高校生男子。肉体も頭脳も容姿も人並み以下。性格は消極的。
以前の学校でいじめに合い、県外に転校。現在はアパートにひとり暮らし。
唯一の長所は「虫も殺さない」優しさ。その唯一の取り柄が次々に虫オンナを呼び寄せていく。
○短編集か一話か?
300ページ弱のラノベにまとめるカタチは、今のところ2案。
どっちが面白そうだろう?
1.50~60ページの短編を5話:
各話に登場する虫オンナは虫の種類が異なる。
各虫オンナは、元の虫特有の超能力、生態をもっていて、それが男を助けたり、逆に不幸を招く。
いくつか騒動を起こしたのち、虫オンナは男のもとを去る。
各話ごとにイラストレーターを変えるのも面白いかもしれない。
2.長編で一話:
6章だてくらいで、各章で別の虫オンナが加わり、主人公のアパートは、虫オンナの巣窟(ある意味、ハーレム)と化す。
当然、新たな問題が起き、混乱を極める。
そんな中、虫オンナ同士は対立しながらも、ときに主人公のために献身的に協力。
最終的には「虫らしい」奇妙な共存のバランスが生まれていく。
○虫オンナの種類:
まず本作の「虫」の定義だが、簡単に言うと「虫」が漢字の一部に入っている小動物全般。
蠅、蝉、蟻、蜂、蛾などの昆虫は言うに及ばず、蜘蛛、蚕、蛇、蛙、蜥蜴、蛞蝓、蜆、蛤あたりまで「虫」とする。
虫オンナとなる虫は、大別して以下の2種。
1.その特殊な生態や能力が一般に知られていて、読者は、その虫の本性がどこで発揮されるか、固唾をのんでワクワクしながら読むタイプ。
例:蟷螂オンナなら、読者はいつ首をはねられるかいつ食われるかとドキドキしながらページを繰る。
2.一般には知られていない特殊な生態や能力をもっていて、読者はその生態に驚き、その能力で主人公のピンチを救う様に感心するタイプ。
例:一週間ほど喋りまくって死んでいく蝉オンナ。
せっかく調べたので追記:
○虫の付く小動物:
虻 あぶ 蝙蝠 こうもり 蛞蝓 なめくじ
蝗 いなご 蟋蟀 こおろぎ 虹 にじ
蛆 うじ 栄螺 さざえ 蚤 のみ
蚊 か 蠍 さそり 蝿 はえ
牡蠣 かき 蛹 さなぎ 蛤 はまぐり
蜉蝣 かげろう 虱 しらみ 蜩 ひぐらし
蝸牛 かたつむり 蝉 せみ 蛭 ひる
蟹 かに 蝶 ちょう 蛇 へび
蟷螂 かまきり 蜥蜴 とかげ 蜜蜂 みつばち
蜘蛛 くも 蜻蛉 とんぼ 蚯蚓 みみず
蛾 が 蛙 かえる 蛍 ほたる
蛸 たこ 蜂 はち 蜆 しじみ
蚕 かいこ 蚤 のみ 繭 まゆ
蓑虫 みのむし 轡虫 くつわむし 蝦蟇 がま
蝶 ちょう 飛蝗 ばった 蝗 いなご
蟻 あり 蜉蝣 かげろう
●続ラノベ企画「649-1(虫くノ一)」
上記の「虫オンナの恩返し」は、定番と崩しのバランスは悪くないと思うが、アクション成分が足りないと気づく。
結局、タイトルに釣られた「妻は、くノ一」の呪縛から解放されず、くノ一に逆戻り。
さまざまな虫の特長を、千年前くらいに中国から伝わった秘術、あるいはショッカーのバイオ技術で身に宿す女子高生たち。
それが「649-1(虫くノ一)」だ。
種類が多いので「649-1」のあとに通しナンバーがつく。
たとえば、蛸(タコ)くノ一なら「649-1 003 肖(アヤカ)」とか。
……というところまでは、勢いで考えたのだが、彼女たちが戦う目的、敵は誰なのか。
なぜ舞台が学校で、どう主人公(男子)が関わるか、ぜんぜん思いつかない。
きっとどうでもいいことだけど。
たとえば、悪の秘密組織が改造に失敗した改造人間を廃棄する場所の座標が、どういうわけか何かの手違いで主人公のアパートになっていたというのは、どうだろう。
彼女らには、改造に失敗してるからあからさまな欠陥がある。
その欠陥を主人公の知恵と勇気で補い、悪の組織と戦う。
で、悪の野望を阻止するのだが、間違えた座標はその後も修正されることなく、失敗改造人間がまた送られてくる。
●改ラノベ企画「虫オンナの恩返し」
主人公(高校男子)に助けられた虫が人間の美少女に姿を変え、主人公の前に現れ、人間には受け入れがたい虫らしい価値観でもって、主人公に献身的に尽くす。
……というアイデアが「虫オンナの恩返し」だったが、主人公の前に現れる美少女は虫の化身ではなく「自分は主人公に命を救われた虫の化身だと思いこんでいる」だけの頭がおかしい女たちのほうが面白いと気づく。
虫らしい超能力も本人が自分は使えると思いこんでいるか、たまたま偶然がかさなったか、タネのある手品の類で、ぜんぜん超能力でもなんでもない。
主人公も次々に現れる女の子たちが虫の化身ではないことを知っているし、超能力を信じているわけではないが、それまでの生活があまりに退屈でいっそ死のうかとすら考えていたほどなので、「今よりはマシ」と頭のおかしい美少女たちとの奇妙な生活を受け入れてしまう。
さらにはその生活を守ろうと外敵(常識的な世間、親や教師など)と戦いさえする。
非常に緩いが、常に破滅と表裏一体の奇妙な共同生活。
……こっちのほうが面白いかもしれない。
ラノベとして需要があるのかどうかは、疑問だけど。
●ラノベ企画2「戦う女子高生主婦」
普通の主婦がどこにでもあるような平凡の生活、小さな幸せ、愛する家族を守るために、封印していた能力を使って巨悪と戦う話を以前から書きたいと思っていた。
見どころは、彼女が守ろうとしている日常と、巨悪と命がけで戦う非日常が、相反した性質を持っているにもかかわらず、否応なく彼女の生活に入り混じる。
それをいかに物理的に精神的にぎりぎりのところで捌くか。
いつか家族にばれて、この二重生活が破綻することは予感しているが、その日が訪れるを一日でも先延ばしにしようと、彼女は家族の笑顔に励まされながら必死に戦う。
このネタは明らかに面白い。
が、いかんせんラノベの主人公が主婦では、若い読者の共感を得るのは難しい……ということは、編集に指摘されるまでもなく、さすがに僕でもわかる。
……ということで、「じゃあ、主婦で女子高生ならいいんじゃねーの」と。
ただし、16歳の人妻というのも、これもまた趣旨が違う。
で、考えたのが、母親が死んで健気に家事と学業を懸命に両立させている女子高生というポジションだ。
彼女は、幼い弟や妹に信頼され、忙しい父親にも感謝されているし、ボーイフレンドを含めて友人に協力者も多い。
かなりしんどいギリギリの生活だが、責任感が強くバイタリティがあり楽観的な彼女は、自分が必要とされていることを実感し充実感を得ている。
が、その小さな幸せは、父親の事故だかリストラにより金銭的にもろくも崩れ去ろうとする。
選択肢がいくつか示されるが、「学校をやめて働く」「兄弟とバラバラになる」など、いずれも彼女の誇りであり、幸せである現状の生活を維持できないものばかり。
そこに謎の機関から連絡が入る。
……てな設定なら、なんとかラノベの範疇に入るだろうか?
追記:
彼女がなぜ超人的な力を使えるのか。そして、今までその力を使えなかった、あるいは使わなかった理由は何か……。
で、2つ考えた。
1.そんな力が自分にあるとは、今まで知らなかった。戸惑いつつも戦闘の中で覚醒する碇シンジ君のパターン。
2.今も彼女自身に力はないのだが、死んだお母さんに宿っていた妖怪が、彼女の肉体に乗り移ることで一時的に人外の力を発揮する。
2は、夜鳥子と被るし、ラノベの文脈としては、1かな。
大枠は1なんだけど、力の源泉は2の妖怪……というのもアリか。
メモ:
次に考えなければならないのは、日常と非日常がせめぎあう具体的なシーン。
「今○○をやれば敵をせん滅できる。が、そうするとたまたま現場に居合わせた家族に秘密がばれてしまう」とか「持久戦になれば勝てる。が、そうすると明日の運動会のお弁当のおかずを買いに行く暇がなくなる」とか「あと5分以内に倒さないと初デートの映画に間に合わない」とか。
あとは、家族構成と友人関係。