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ラノベの企画メモ
桝田 省治

 数か月、本業が暇になりそうなので、この隙にラノベを1本書こうと思う。というわけで、とりあえず企画のイメージスケッチを始めた。

●ラノベ企画「虫オンナの恩返し」
○趣旨:
 ようするに「鶴の恩返し」あるいは「人魚姫」など、人外の女が人間の男に恋し、人の姿になって現れその男につくす……それの「虫」版。
 本作のポイントは、男のもとを訪れる女が、鶴とか人魚とかイメージが美しい生き物ではなく、生態が人間とはかけ離れた「虫」であること。
 見どころは、3つ。
1.虫オンナ本人は、惚れた男のためによかれと思ってやることがことごとく“虫の価値観”“虫のルール”ゆえにずれる。
 場合によっては、男の生命すらも危機に陥れる。
 その哀しくもおかしく、ときにグロテスクだが、虫オンナ本人は必死な様。
2.虫オンナは、元が「虫」なので人間にはないさまざまな能力を備えている。
 この超能力を虫オンナがどの場面でどんな風に使って、男を助けて状況を逆転するか。
3.虫オンナに振り回されつつも、虫オンナの思いを知り、徐々にその生態にも慣れ、果ては虫オンナとの奇妙な生活を受け入れていく、優柔不断な男の変化。

○主人公と舞台:
 現代。主人公は、うだつの上がらない高校生男子。肉体も頭脳も容姿も人並み以下。性格は消極的。
 以前の学校でいじめに合い、県外に転校。現在はアパートにひとり暮らし。
 唯一の長所は「虫も殺さない」優しさ。その唯一の取り柄が次々に虫オンナを呼び寄せていく。

○短編集か一話か?
 300ページ弱のラノベにまとめるカタチは、今のところ2案。
 どっちが面白そうだろう?
1.50~60ページの短編を5話:
 各話に登場する虫オンナは虫の種類が異なる。
 各虫オンナは、元の虫特有の超能力、生態をもっていて、それが男を助けたり、逆に不幸を招く。
 いくつか騒動を起こしたのち、虫オンナは男のもとを去る。
 各話ごとにイラストレーターを変えるのも面白いかもしれない。
2.長編で一話:
 6章だてくらいで、各章で別の虫オンナが加わり、主人公のアパートは、虫オンナの巣窟(ある意味、ハーレム)と化す。
 当然、新たな問題が起き、混乱を極める。
 そんな中、虫オンナ同士は対立しながらも、ときに主人公のために献身的に協力。
 最終的には「虫らしい」奇妙な共存のバランスが生まれていく。

○虫オンナの種類:
 まず本作の「虫」の定義だが、簡単に言うと「虫」が漢字の一部に入っている小動物全般。
 蠅、蝉、蟻、蜂、蛾などの昆虫は言うに及ばず、蜘蛛、蚕、蛇、蛙、蜥蜴、蛞蝓、蜆、蛤あたりまで「虫」とする。
 虫オンナとなる虫は、大別して以下の2種。
1.その特殊な生態や能力が一般に知られていて、読者は、その虫の本性がどこで発揮されるか、固唾をのんでワクワクしながら読むタイプ。
 例:蟷螂オンナなら、読者はいつ首をはねられるかいつ食われるかとドキドキしながらページを繰る。
2.一般には知られていない特殊な生態や能力をもっていて、読者はその生態に驚き、その能力で主人公のピンチを救う様に感心するタイプ。
 例:一週間ほど喋りまくって死んでいく蝉オンナ。

 せっかく調べたので追記:
○虫の付く小動物:
虻 あぶ 蝙蝠 こうもり 蛞蝓 なめくじ
蝗 いなご 蟋蟀 こおろぎ 虹 にじ
蛆 うじ 栄螺 さざえ 蚤 のみ
蚊 か 蠍 さそり 蝿 はえ
牡蠣 かき 蛹 さなぎ 蛤 はまぐり
蜉蝣 かげろう 虱 しらみ 蜩 ひぐらし
蝸牛 かたつむり 蝉 せみ 蛭 ひる
蟹 かに 蝶 ちょう 蛇 へび
蟷螂 かまきり 蜥蜴 とかげ 蜜蜂 みつばち
蜘蛛 くも 蜻蛉 とんぼ 蚯蚓 みみず
蛾 が 蛙 かえる 蛍 ほたる
蛸 たこ 蜂 はち 蜆 しじみ
蚕 かいこ 蚤 のみ 繭 まゆ
蓑虫 みのむし 轡虫 くつわむし 蝦蟇 がま
蝶 ちょう 飛蝗 ばった 蝗 いなご
蟻 あり 蜉蝣 かげろう

●続ラノベ企画「649-1(虫くノ一)」
 上記の「虫オンナの恩返し」は、定番と崩しのバランスは悪くないと思うが、アクション成分が足りないと気づく。
 結局、タイトルに釣られた「妻は、くノ一」の呪縛から解放されず、くノ一に逆戻り。
 さまざまな虫の特長を、千年前くらいに中国から伝わった秘術、あるいはショッカーのバイオ技術で身に宿す女子高生たち。
 それが「649-1(虫くノ一)」だ。
 種類が多いので「649-1」のあとに通しナンバーがつく。
 たとえば、蛸(タコ)くノ一なら「649-1 003 肖(アヤカ)」とか。

 ……というところまでは、勢いで考えたのだが、彼女たちが戦う目的、敵は誰なのか。
 なぜ舞台が学校で、どう主人公(男子)が関わるか、ぜんぜん思いつかない。
 きっとどうでもいいことだけど。
 たとえば、悪の秘密組織が改造に失敗した改造人間を廃棄する場所の座標が、どういうわけか何かの手違いで主人公のアパートになっていたというのは、どうだろう。
 彼女らには、改造に失敗してるからあからさまな欠陥がある。
 その欠陥を主人公の知恵と勇気で補い、悪の組織と戦う。
 で、悪の野望を阻止するのだが、間違えた座標はその後も修正されることなく、失敗改造人間がまた送られてくる。

●改ラノベ企画「虫オンナの恩返し」
 主人公(高校男子)に助けられた虫が人間の美少女に姿を変え、主人公の前に現れ、人間には受け入れがたい虫らしい価値観でもって、主人公に献身的に尽くす。
 ……というアイデアが「虫オンナの恩返し」だったが、主人公の前に現れる美少女は虫の化身ではなく「自分は主人公に命を救われた虫の化身だと思いこんでいる」だけの頭がおかしい女たちのほうが面白いと気づく。
 虫らしい超能力も本人が自分は使えると思いこんでいるか、たまたま偶然がかさなったか、タネのある手品の類で、ぜんぜん超能力でもなんでもない。
 主人公も次々に現れる女の子たちが虫の化身ではないことを知っているし、超能力を信じているわけではないが、それまでの生活があまりに退屈でいっそ死のうかとすら考えていたほどなので、「今よりはマシ」と頭のおかしい美少女たちとの奇妙な生活を受け入れてしまう。
 さらにはその生活を守ろうと外敵(常識的な世間、親や教師など)と戦いさえする。
 非常に緩いが、常に破滅と表裏一体の奇妙な共同生活。

 ……こっちのほうが面白いかもしれない。
 ラノベとして需要があるのかどうかは、疑問だけど。

●ラノベ企画2「戦う女子高生主婦」
 普通の主婦がどこにでもあるような平凡の生活、小さな幸せ、愛する家族を守るために、封印していた能力を使って巨悪と戦う話を以前から書きたいと思っていた。
 見どころは、彼女が守ろうとしている日常と、巨悪と命がけで戦う非日常が、相反した性質を持っているにもかかわらず、否応なく彼女の生活に入り混じる。
 それをいかに物理的に精神的にぎりぎりのところで捌くか。
 いつか家族にばれて、この二重生活が破綻することは予感しているが、その日が訪れるを一日でも先延ばしにしようと、彼女は家族の笑顔に励まされながら必死に戦う。

 このネタは明らかに面白い。

 が、いかんせんラノベの主人公が主婦では、若い読者の共感を得るのは難しい……ということは、編集に指摘されるまでもなく、さすがに僕でもわかる。
 ……ということで、「じゃあ、主婦で女子高生ならいいんじゃねーの」と。
 ただし、16歳の人妻というのも、これもまた趣旨が違う。
 で、考えたのが、母親が死んで健気に家事と学業を懸命に両立させている女子高生というポジションだ。
 彼女は、幼い弟や妹に信頼され、忙しい父親にも感謝されているし、ボーイフレンドを含めて友人に協力者も多い。
 かなりしんどいギリギリの生活だが、責任感が強くバイタリティがあり楽観的な彼女は、自分が必要とされていることを実感し充実感を得ている。
 が、その小さな幸せは、父親の事故だかリストラにより金銭的にもろくも崩れ去ろうとする。
 選択肢がいくつか示されるが、「学校をやめて働く」「兄弟とバラバラになる」など、いずれも彼女の誇りであり、幸せである現状の生活を維持できないものばかり。

 そこに謎の機関から連絡が入る。
 ……てな設定なら、なんとかラノベの範疇に入るだろうか?

追記:
 彼女がなぜ超人的な力を使えるのか。そして、今までその力を使えなかった、あるいは使わなかった理由は何か……。
 で、2つ考えた。
1.そんな力が自分にあるとは、今まで知らなかった。戸惑いつつも戦闘の中で覚醒する碇シンジ君のパターン。
2.今も彼女自身に力はないのだが、死んだお母さんに宿っていた妖怪が、彼女の肉体に乗り移ることで一時的に人外の力を発揮する。

 2は、夜鳥子と被るし、ラノベの文脈としては、1かな。
 大枠は1なんだけど、力の源泉は2の妖怪……というのもアリか。

メモ:
 次に考えなければならないのは、日常と非日常がせめぎあう具体的なシーン。
「今○○をやれば敵をせん滅できる。が、そうするとたまたま現場に居合わせた家族に秘密がばれてしまう」とか「持久戦になれば勝てる。が、そうすると明日の運動会のお弁当のおかずを買いに行く暇がなくなる」とか「あと5分以内に倒さないと初デートの映画に間に合わない」とか。

 あとは、家族構成と友人関係。

Twitterから抜粋、最近分
桝田 省治

●「深谷かほる」という漫画家がいる。桝田省治というキャラを無断で作品に登場させた、かわいい大学の後輩だ。
 今朝知ったのだが、YOUで連載中の「ハガネの女」という彼女の作品がTVドラマになるそうだ。
 ここでつぶやけば、もしかして誰か伝えてくれるかな「おめでとう!」

●服を脱いで浴室に入ったところで、風呂が沸いてないことに初めて気づく失望感は、なぜだろう、何度体験しても常に新鮮だ。あ~ぁ……

●ムサ美の授業料って普通の私学の倍近く。医学部の次くらいに高い。
 あの学校、休みも多いから、たぶん1日1万円以上、1日3コマとってるとしたら1授業90分でで3000円超。30分で1000円払ってる。
 1日分の授業料を稼ごうと思ったら、マックや和民のバイトなら2日かかる……てこと意識してるのかな?
 払った分は元を取って帰ってほしいね。
 ムサ美に限らず美大の授業料は安くはない。参考書や材料費を入れれば4年で1000万近くになる。
 だから、僕に言わせれば、あの学校は払った授業料をいかにして取り返すか倍にするか、4年間かけてそのヒントを必死に探す場所だ。

●裏話。実はNHKからの取材の話、技術評論社に来た。で、僕の担当である美人編集者は「これでゲームデザイン脳がまた売れる。ウヒヒヒ」と心の中で品のない笑い声をあげたわけだが、取材の内容は「まおゆう」でガッカリw。
 で、僕は「これで数十万単位でタイトル認知が上がる。ウヒヒヒ」と心の中で品のない笑い声をあげたわけだが、よく考えてみたら正式タイトルが決まっていないというワナ

●昨日NHKに行く途中、駅のホームで「美人の双子姉妹」を生まれて初めてナマで見た。おまけに胸元にリボンのついた制服、さらにはふたりともポニーテール。
 奇跡ってあるんだなと、しばし声を失う。

●先日の運動会、娘は騎馬戦で馬の先頭だった。その写真を小学校の会報に載せたい旨、学校から連絡があった。
 が、娘の騎馬の大将が劇団○まわり所属で肖像権の問題があり掲載不可ということに……

●ムサ美での講義要旨:
 デザインというのは、客なりクライアントなりユーザーなりプレイヤーなりを喜ばせて、つまりはお金をもらう仕事だ。
 相手がいないデザインはないし、クリアすべき条件がないデザインもない。競合は当然いるし市場の要望もある。予算も開発期間も有限。技術的な制限も多い。
 わかりやすい長所を探し、なければ作り、それをアピールし、逆に欠点は隠すなり何らかの手段で補完するなりする。後発なら小さくてもいいからとりあえず何かで一番をとる。
 誰にいくらで買ってもらうか。どんなチャンネルを使うのが一番効率がいいか。こういう手法、あるいは観点でもって、学生の4年の間に自分自身をデザインしなさい。商品としての付加価値を高めなさい。できなければ、卒業してから路頭に迷うよ。……てな話だな。
 例によって身も蓋もなしw ま、ちょっとくらい刺激になればそれでよし。

●修学旅行に行っていた次男、無事韓国より帰国。
 一番印象に残ったのは、目覚まし時計を携帯していたクラスメートが空港で軍に連行されたことw

●名前を知らないのを「名もなき」と書いて誤魔化した大雑把な女流作家w RT @mito_orihara: 今日は、名もなき紅い薔薇をアップ。
http://ameblo.jp/mitorin

●「衆議院議員の生方幸夫さんからのご紹介で~」から始まる謎の電話があった。
 娘の小学校の運動会で「元気よく」とか挨拶しているのを遠くから眺めたことはあるが、紹介されるような知り合いじゃない。
「この電話番号には何の名簿を見てかけていますか?」と訊ねたらしどろもどろの返答で切れた。

●技術の進歩に驚く前に久々の本格的な3D酔い http://tinyurl.com/239dozf

●先日ムサ美でやった講義の学生からの感想が40人分ほど届いた。
 感想を読む限りは、事前に担当教授からあった「現実的なビジョンがぼんやりした学生が多いので喝を入れてくれ」とのオーダーには応えられたようだ。
 それに「自分をデザインしろ」というキーワードに絞り込んだのも効果的だったように思う。

●妻がニコニコしている。どうやら誰かと喧嘩を始めるらしい。
 誰が相手か知らないが、その可哀想な人は、世の中には、周到に勝てる作戦を考えたうえで、百回勝てるくらいの弾薬を躊躇なくぶちこめる女がいることを知るに違いないよ。
 ご愁傷様。

●2回目の「衆議院議員生方幸夫さんのご紹介で……」から始まる電話。電話してきたのは前回と同じ声の男だ。
 前回同様、生方議員とは面識がないと断った上、名簿の入手先を質すが、先方は「生方幸夫さんのご紹介で……」と繰り返すのみ。ま、そう簡単には明かさないだろう。それにしても……
 仮にこの電話の男が本物の生方議員の事務所のスタッフだとしたら、生方議員は名簿の更新もできないほど無能なスタッフを雇っていることになる。
 本物でなかったとしたら、目的は何だろう?
 もう一度電話がかかってきたら詳しく訊くことにしよう。

●五日ほど前に大量のビワをいただいた。これがけっこうおいしくて、一度に食べるのももったいないと、ちょっとずつ食べていたら、ビワって足が早いのな……半分ほど腐らせてしまった。

●パラグアイ戦がPK戦までもつれ込んだせいで、「けいおん」の放映時間が遅れた。で、それを観てから寝た長男は、案の定寝坊。
 いくら声をかけてもさっぱり目を覚まさない長男に「起こすのにブブゼラがほしい」と妻はぼやく。

●また誰かがポケットにティッシュを入れたままの衣類を洗濯機に放りこんでくれたらしい。
 おかげでベランダの床が酷いことになっている。
 犯人は誰なのか。ちょっと探偵気分で洗濯物を干す。
 うちの場合、家族全員が大雑把なので、容疑者には事欠かない。

 5人分の洗濯物を干し終えて、ポケットが付いている衣類は、僕のズボンだけであることが判明w 思いがけない展開だった……

ミステリーを2冊
桝田 省治

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●春季限定いちごタルト事件 米澤穂信著

 身も蓋もない言い方をすれば、お話は高校一年生の男女が主に学園内のちょっとした事件や謎を解決する、ありがちなミステリーだ。
 斬新な部分は、探偵役の男女キャラのひねり具合(いや、ひね具合か)だろう。
 一見つかみどころがない青くさい二人なのだが、内実は意外に黒い。
 そのギャップに本人たちが戸惑う。そこが見どころだ。
 とくに小佐内さんの小動物っぽい仕草に萌える。
 なるほど、人気があるのもうなずける。

●顔のない敵 石持浅海著

 対人地雷とその除去にかかわる人々の周囲に起きる事件を扱った、短編ミステリー集だ。
 対人地雷は、戦時中の目的遂行という意味で合理的、反面で戦後に起きる悲惨な事故や後始末の困難さの点で実に理不尽な兵器だ。
 本作の登場人物たちの周囲で起きる事件も、合理的かつ理不尽という二つの性質を持っている。
 そして、対人地雷同様に、悪魔ではなく人間の手で事件は起きる。それを解決し裁くのも神様ではなく人間だ。
 深刻なテーマだ。
 その答を探るかのように短編ごとに、見せ方が違って飽きさせない。
 ミステリーの仕掛けも気が利いていて確かに面白い。
 だが、テーマが深刻すぎて、娯楽としてワクワク楽しんでは申し訳ないような負い目を感じた。

2冊読んだ
桝田 省治

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●ジャンプ 佐藤正午著

 リンゴを買いに行ったまま、彼女が謎の失踪。
 その足跡を追ううちに、日々のちょっとした偶然や選択が人生を大きく変えていくことを知る……そんな感じの話だ。
 なぜ彼女は突然消えたのか? その答が知りたくて最後まで読んだ。
 最後まで読んだくらいだから、それなりに面白かったわけだ。
 が、たぶん僕の周りには、もっと意外な行動を大した理由もなくとる人たちが大勢いて、それを許容する環境が当たり前のようにあるので、「これ、小説にするほどのネタか?」というのが正直な感想だ。
 僕の知る現実は、ここに書かれている話より、面白いかどうかはともかく、もっと唐突で理不尽で強引だよ。

●レインツリーの国 有川浩著

 ここ数年、景気が悪くてお金が回らなくなっているせいだろうか、プロジェクトが突如として停滞したり消滅することがままある。
 まいったな、また2ヶ月くらい暇になった。
 また小説でも書こうかな。
 
 というわけで、今日は昼からテレビを見ながら読書。 
 久しぶりに至極まっとうな恋愛小説を読んだ。
 どれくらい至極まっとうかといえば、「まさかこの歳で甘酸っぱさやほろ苦さで胸がキュンとするなんて恥ずかしいじゃないか、バカ野郎」とぼやきたくなるくらいw

ログ・ホライズン ゲーム企画イメージスケッチ
桝田 省治

「まおゆう」の作者橙乃ままれ氏の次作だ。
 ラノベを想定して300P弱に収める練習として書いてみたというだけあって、内容も「まおゆう」に比べると危なげなくよくコントロールされている。
http://ncode.syosetu.com/n8725k/
 今週の後半ちょっと時間ができたので、ゲーム化のアイデアをメモしておいた。

◇A案:
●前提:
「ログ・ホライズン」は、MMOの世界を舞台にしたファンタジー小説だ。ゆえに、これをそのままMMOとして構築するのは制作コストの点で難しい。
 ゲーム化に当たっては再現するポイントをどこに絞るかがポイントとなる。

●コンセプト:
 プレイヤーに質の異なる3段階の思考を要求するARPG。
 異なる3段階の思考とは、以下の3種類。
1.各戦闘に勝利するための戦術。
2.各ミッションを成功させ、そのミッションの収支を黒字にする戦略。
3.受注したミッションを継続的に成功させることで、所属するギルドを発展させる経営。
 この3点以外、たとえば街での日常生活シーンの再現は、カットする。

●舞台設定:
 小説「ログ・ホライズン」の世界設定に準ずる。
 文明が崩壊した近未来をイメージしたファンタジー世界。
 本作では、その東京近郊エリアを使用する。
 拠点はアキハバラ。ダンジョンは、東京近郊の特徴がはっきりした場所(TDL、皇居、東京タワー、東京駅、地下鉄など)をテーマに作成する。

●プレイヤーキャラ:
「ログ・ホライズン」世界のアキハバラを訪れた旅人。プレイヤーは、複数(10種程度)の職業、人種、性別から選択、顔を作成し、オリジナルキャラを作成できる。
 また他に異性の友人、同性の友人、ライバルの3名をNPCとして登録できる。
 友人2名は、最初からプレイヤーキャラに好感度の高いキャラとして登場。序盤からパーティを編成することができる。
 ライバルキャラは、ときどきミッションに絡んできてプレイヤーの邪魔をする印象的なキャラとして登場する。

●目的:
「ログ・ホライズン」世界に伝わる多数(30種程度)の宝物をすべて集めること。すべての宝物を集めた者はまだいない。すべて集めた者こそこの世界の勇者であり最高の栄誉を手にできる……とかそんな感じの設定。

●手段:
 伝説の宝物を収集するためには、さまざまなミッションを受注し、性質や難度の異なる多くのダンジョンを攻略しなければならない。
 多くのダンジョンを攻略するためには、当然プレイヤーキャラを強化しなければならない。加えて自分の所属するギルドを発展させる必要がある。
 ギルドが発展するメリットは、たとえば以下のとおり。
・どんなミッションにも対応できるよう、自分と異なる技能を持つ職種の人材をギルドのメンバーとして常駐させる。
・既存のアイテムより性能がいい武器などを安定生産する。
・継続的に成功させ自分のギルドの信用を上げることで、より難度の高いミッションが受注できるようになる。
・個人で購入できないような高価なアイテムや施設をギルドの資金で購入できる。
・ギルド内の施設や人材は、タダあるいは割引価格で利用できる。

●ゲームの流れ:
1.既存のギルドのいずれかに所属する。所属しない場合でも、難度の低いミッション、単発のミッションには参加できる。ただし、参加できるミッションは限られている。
2.所属ギルドから与えられたミッションをこなし、レベルを上げ、貯金に励む。また、何度か同じミッションに参加することで、めぼしいキャラの友好度を上げる。
3.ある程度自分のキャラが強くなり、資金が貯まったら、機を見て新ギルドを立ち上げる。その際は、友好度の高いキャラをスカウトする。
4.ミッションを継続的に成功させることで、自分のギルドの信用を上げて、人材確保、武器の開発を行い、さらに難度が高いミッションを受注しそれを成功させる。
5.上記4を繰り返し、どんどん難度の高いミッションを成功させてギルドを発展させる。
6.いくつかの条件がそろうと、伝説クラスの最難度のミッションが発生。それをクリアすれば、ゲームの目的である宝物収集はいちおう終了。(ただし、集めたのちもプレイは継続可能)

●職業:
 戦士系2種、魔法使い系2種、僧侶系2種、魔法戦士1種、僧侶戦士1種、隠し職業2種程度。

●戦闘:
 敵味方入り乱れるアクション。
 プレイヤーが操作するのは、プレイヤーキャラのみ。他の仲間は、本人の性格や職業の役割、戦況の変化に応じて独自に判断し自動的に戦う。ただし、他の仲間キャラには随時、戦術を伝えることができるが、それに従うか否かは、プレイヤーキャラとの関係性において決まる。
 ミッションの難度やダンジョンや敵の性質に合わないパーティ構成を選択した場合、プレイヤーの操作が上手くても個のキャラが強くとも楽には勝てないバランス。
 ダンジョンの移動と戦闘は、シームレスで同じマップを使用。

●戦術:
 サッカーに例えると、FW戦士系、MF魔法使い、DF僧侶系の陣形と、各職業の特徴を活かす戦術の指示。
 ミッションに適したパーティを組み、その陣容に適した戦術を指示できた段階で、ミッションの半分は成功したも同然のバランスを構築する。

●ギルド:
 拠点であるアキハバラには、既存のギルドが複数存在し、戦士系ギルド、魔術師系ギルド、初心者向けギルド、亜人種系ギルド等、それぞれ特徴を持つ。
 ギルドに所属すると、次々にミッションへの参加を斡旋されるので仕事にあぶれることは少ない。
 ただし、ミッションの成功報酬の一定割合が所属ギルドに斡旋料として天引きされる。その率は、大きなギルドほど高い。
 ギルド内で出世すると、パーティのリーダーを任され、メンバーの人選、戦術の指示等の権限が増える。さらに出世すれば、ミッションの受注も可能になる。
 だが、大きなギルド内ではライバルが多いため、出世は難しい。ある程度、強くなり資金が貯まった段階で、自分のギルドを立ち上げるほうが効率がいい。

●パーティ編成:
 原則的に所属するギルド内の人材で編成する。
 必要な人材が同ギルド内にいない場合は、他のギルドの人材を借りる。
 その場合、同ギルド内の人材より割高になる。
 1パーティの最大人数は、4名。
 ミッションクリアの条件、ダンジョンの属性、敵の数や強さを考慮し、ミッションごとに最適のパーティを組む。
 基本は、戦士系1名、魔法使い系1名、僧侶系1名で、残りの1名の枠にどの職業を入れるかで、パーティの個性が出る。

●ミッションの受注:
 ミッションは公示され、ギルド単位で入札し、最安値を提示したギルドが受注する。
 ただし、ミッションには難度別にランクがあり、ギルドにも実績によりランクがある。
 ミッションのランクに対し、ギルドのランクが足りなければ入札に参加することができない。
 最安値を提示しなければ受注できないが、ミッションが成功しても赤字になるようでは、ギルドの維持が困難になるので、入札価格の決定には頭を使う。
 ギリギリの予算でミッションを受注した場合、ミッションを成功させる戦略の立案に頭を使う。
 またギルドのランクを上げるためには赤字覚悟で、受注しなければならない場合もある。
 ミッションに失敗すると、ギルドの信用が下がり、連続して失敗するとギルドのランクも落ちる。

●ミッションの種類と量:
 ミッションは、自動生成タイプと固定タイプの2種がある。
・自動生成タイプ;
 特定期間内に、指定のダンジョンに赴き、指定のアイテムを持ち帰る、指定の敵を倒すなどが目的として提示される。
 難度別にダンジョンの構造、敵の種類や数、目的などを組み合わせて、自動生成する。
・固定タイプ:
 宝物が手に入る可能性があるミッション30種程度は、固定のダンジョンで目的も固定。
 これらは、ランク以外に諸条件が満たされると発生する。

●協力プレイ:
 他のプレイヤーが操作するキャラとパーティを組み、同じダンジョンを攻略することもできる。
 NPCの仲間は、CPが担当する。十分に賢い思考ルーチンを搭載する予定だが、CPは人間のプレイヤーほど臨機応変、あるいは無謀な戦術はとれない。
 逆にいえば、パーティのうち何名かを他のプレイヤーが担当すれば、それだけで戦力が上がる。
 難度の高いダンジョンの攻略の際は、他のプレイヤーと協力すれば難度が下がる。あるいは、多少レベルが足りないミッションでも他のプレイヤーと協力すれば、戦術でカバーできる。
 そういうバランスを構築する。

◇B案:
●前提:
 B案も上記A案とシステムやゲームの目的は同じ。
 違いは、プレイヤーが小説「ログ・ホライズン」の主人公“シロエ”としてゲームに参加すること。

●コンセプト:
 シロエの職業は、付与術師(エンチャンター)。これは、「ログ・ホライズン」世界で最も人気がない職業で、得意は後方支援やトリッキーな魔法。パーティの他のメンバーの行動を活かす補助的立場、悪く言えば単独ではほぼ何もできない。
 プレイヤーをこの使いにくい職業に固定する意味は、単独では役立たずゆえ、ゲームを進めるためには他のキャラとの協力が必要になること。
 B案では、ゲーム内の他の交流や戦闘時の連携に重点を置き、システムを構築する。

以上