夫と子供を殺された普通の主婦が、数々の辛苦を乗り越えて、宇宙規模のテロ組織に復讐する話だ。
これは面白かった!!
どんどん使い捨てられる斬新なアイデア、次々に目の前に立ち上がる見たこともない映像。
これをハリウッド映画でやれば1秒で何億もかかるのだろうけど「書くだけなら紙と鉛筆代だけだぜ、グハハハ」と、なかば開き直った大笑いが聞こえんばかりの大盤振る舞い。
ここまで徹底的にやれば、小賢しい伏線など不要。
「それ、都合がよすぎ」というツッコミをさせる余裕を与えない怒涛の900ページだ。
展開はとにかくダイナミックだ。だが、さすがは「黄泉がえり」の梶真。殺伐とした設定なのに登場キャラの多くが優しい人だ。
こういうトーンは、大好きだ。
読み終えてふと思った余計なお世話。というか自身の経験と照らし合わせてみてといったほうが正確かもしれないが……、
これを書いたときの作者は、何があったかは知らないし想像したくもないけれど、実生活がよほど退屈で、頭の中だけでも銀河の彼方に行ってしまいたいほど、現実逃避したい負のエネルギーであふれかえってたんだろうな。
そうでもなきゃ、こんなもん書けないと、老婆心ながら思う。
昨日は名古屋まで行って桜瀬琥姫さんと、生姜汁を飲みながらイラストの打ち合わせをしてきた。
「ジョン&マリー」の水玉さん、「ケームデザイン脳」の帝国少年さん、それに「透明の猫と年上の妹」の桜瀬さん。
僕の勝手な思い込みかもしれないが、お三方ともなんだか打ち合わせが楽しげだった。
スタッフのノリがいいときは、僕が想定した以上に面白いものができる可能性が高い。楽しみだな。
帰宅したら、「ザ・ジャグル 汝と共に平和のあらんことをⅠ 榊一郎著」がハヤカワから届いてた。
どうやら僕と担当編集が同じらしい。