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ミクシィの日記を転載
桝田 省治

 最近、更新していなかったので、ミクシィの日記を転載して、お茶を濁す。

●起床直後の認識のバトルロワイヤル

 だらだらと朝まで効率の悪い仕事を続け、学校に行く子供たちを見送ってから寝たのが午前9時。
 そのとき12時に出かけると言う妻に「出かけるときに起こしてくれ」と依頼した。
 そしてそのとおり起こされた。
 起こされたほんの数秒間に、以下3つの異なる認識が脳裏に浮かんでは消えた。
 他人に説明してもよくわからないであろうことを承知で、メモ代わりにここに書いておく。
 1.子供のときよく感じた「寝てすぐに起きた」あの感じ。寝る前と起きた瞬間がつながっている戸惑い。
 2.上記1の感覚と並立しないはずなのだが、起床直前、僕は夢を見ていた。夢の内容は「宇宙人の血をわずかにひいている僕がその遺産を継承すべきか否か“横になって目をつぶりながら”悩んでいる」という実に夢らしい夢だ。
 だが、まあ、けっこう真剣に悩んでいた。
 3.起こした妻の言葉「12時に起こせって言ったよね?」をヒントに状況を把握しようと懸命に思考を開始した僕の脳。

 起床の段階では、上記1,2,3は、ほぼ等価値で、僕の頭は混乱していた。
 そして数秒。たぶん2秒くらいだろう。もちろん上記3が、上記1と2の錯覚を圧倒的なリアリティで打ち倒した。
 1に対しては、投げ飛ばす感じ。
 2に対しては、押し出す感じだ。

 ほらね。よくわからないだろ(笑)。

● 「あざとい」これは褒め言葉である
 小学校一年の娘が夏休みの習字のコンクールで金賞をもらったと言って、茶封筒を差し出した。
 中にはカラーのチラシ。
 金メダル、記念盾、キーフォルダー、マグカップ等などのカタログだ。
 入賞した習字を、加工して「世界でたったひとつの記念品」を作れるらしい。
 おじいちゃん、おばあちゃんにも配りましょう、みたいなことまで書いてある。
 たとえば、マグカップ。1200円。
 広告代理店に勤務していた僕は、仕入れ価格というものの相場をだいたい知っている。
 まあ、マグカップなら、加工賃と輸送費用を含めても、せいぜい600円。
 3000円の盾なら、まあどんなに高くても1500円。
 つまり半分は儲け。
 で、よくよく見たら、約70万点の応募で10万人が金賞。
 特選が1万人。銀賞が30万人。
 1万人が盾を買えば、1500万の利益。
 10万人がキーフォルダーを買えば、5000万の利益。
 いやあ、大したもんだよ。広島のK町。

●甘鯛の粕漬け
 酒粕が大好きだ。おそらく好物のベスト3に入る。ごくごく平均的な人から見れば、異常に好き、と見えるかもしれない。
 次に甘鯛。別に嫌いと言うわけではないが、積極的に食べたいとは思わない程度の評価。もちろん僕の個人的な趣味であって、甘鯛が大好きな人がいても不思議とは思わない。

 続いて、酒粕の流通時期。これは酒の生産工程でできる副産物であるから、年末~せいぜい三月あたりに限定される。
 ようするに季節商品だ。
 僕がいくら大好きであっても、夏や秋に食べることは難しい。
 それに対して、甘鯛の粕漬け。
 これは保存食であるから、一年中食べられる。
 酒粕が大好物である僕は、酒粕の代替品として、甘鯛の粕漬けをつい食べてしまう。

 こういう嗜好でもって食べると、甘鯛の粕漬けは、非常に魚くさい酒粕でしかない。
 よって僕は、甘鯛の粕漬けが嫌いなわけだが、それでも酒粕の香り嗅ぎたさに、また食べてしまうのだ。

 いやホント。マヨネーズ好きの人が羨ましい。
 あなたたちは一年中、好物が安定供給されているということが、どれだけ贅沢なことか気づいていないだろう。
 イヤであれば野菜くさいマヨネーズとか、シーチキンくさいマヨネーズとか食べないで、純粋にマヨネーズを楽しめる。
 それがいかに幸せなことか知らないだろう。

 以上

鬼切り夜鳥子、修学旅行編
桝田 省治


 ――のプロットをまとめ始めた。
 といっても、入れようと思ってるネタを30個くらい出して
最初にどのネタから入ったら面白いかを考えて、その次はどれが笑える? その次はどれ、とかいう風に適当に順番を考えて、
 あとは、そのネタを最短でつなげるのに最低限必要なストーリーやキャラや場所を用意したら、
 もう、いきなり書き始める。
 で、「あ、そろそろ予定の7割は書いたかな」と思ったら「じゃあまあ、エンディングに向けて風呂敷をたたむかな」くらいの調子だ。
 いちおう予定枚数の9割くらいでまとめて、最初から読み直すと、こんないい加減な書き方だから、当たり前のように矛盾だらけ。
 しょうがないから「実は…」とあちこちに設定を追加したり、今まで一度しか登場してなかったキャラを敵の黒幕や陰の援護者に格上げしてみたりして、つじつまを合わせる。
 で、これがうまくいった場合は、結果的に見事な伏線と言われる。
 そりゃ、そうだよねえ。書いてる本人さえ予定になかったんだから読者にとっては意外だろうよ。

僕は贈呈されるので買いません
桝田 省治

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「ゲームシナリオライターの仕事 名作RPGに学ぶシナリオ創作術」
ISBN4-7973-3596-3
2006年7月31日 初版第一刷発行
著者  前田圭士
監修  桝田省治/重馬敬
定価 2,500円(税別)

 という本が出ました。
 この前田くんというのは去年まで僕のアシスタントで、その前は重馬くんとこのシナリオ工房月光に所属してた男です。
 ついでに、さくまさんのシナリオ講座の生徒で、芝村くんの飲み友達で、まあ、ようするにそのへんのコネと経験をフルに活用して書いた本です。
 内容は「RPGのシナリオってどんな風にして書くんだろ?」と気になって気になって、それが理由で自殺を思いとどまっている方には、しっかり引導を渡してくれる、表題どおりのちゃんとした手引き書になっていると思います。
 それと天外2とルナ2が具体例として取り上げられているので「この伏線はここでこう結んであるのか。へ~!」みたいな感じで、ファンの方にとっては、ある意味、非常にマニアックな楽しみを得られるはずです。
 僕も重馬くんも、自分が書いたはずのシナリオをすっかり忘れていて「この伏線はここでこう結んであるのか。へ~!」と感心したくらいには、細かく分析されています。
 あと、先に挙げた四人のインタビューが収録されているのですが、それぞれ好き放題なことを言っていて笑えます。
 さらに僕と重馬くんのコラムも付録でついてます。
 興味がある方は、ぜひどうぞ。
 ちなみにこれです。

「ゲームシナリオライターの仕事 名作RPGに学ぶシナリオ創作術」

嬉しいメール2通
桝田 省治

 事務所に2通メールが来ていた。
 1通は高山みなみさんからである。
「鬼切り夜鳥子」の冒頭に「高山みなみさんの声を思い出せる方は、小説の主人公の声は彼女の声で読んでくれ」みたいなことを書いた手前、彼女に贈呈した。
 それに対して「自分なりにキャラ作りをして読みます」というような、たいへん光栄なことが書かれていた。
 2通目は編集部からだ。
 内容は「続編はどうか?」との問い合わせ。
 今すぐとはいかないが、もちろん書くつもりだ。

 ということで、鬼切り夜鳥子の続編の帯の売り文句は
「高山みなみが音読しているエログロ小説!」
 これでどうだろう。

鬼切り夜鳥子、とうとう明日、発売です
桝田 省治

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 僕の手元には、明日発売の小説の見本誌がすでにある。
 今朝、ルビの間違いを1箇所みつけた。
 で、今さらながら気づいた。
 小説って、僕が書いた、そのまま世間に出るんだ。
 良くも悪くも100%自己責任。
 そういう媒体だったんだあああ! と。
 …ちょっと怖くなった。

 ゲームだと、僕が書くものは、企画書、仕様書、発注書、台本などが大半で、一般人が目にすることは、攻略本や設定集を除けば、まずない。
 それらにしたところで、実際には1/1000にも満たない断片でしかない。
 また、ある状況を表現するのに、僕が全部説明しなくても、グラフィックや音楽の担当者、あるいは声優、プログラマーなどが、僕の意を汲んで適当に合ったものを作ってくれる。

 もちろん、頭ではわかっていたのだが、ルビの間違いを1箇所みつけたことで「書いたものがそのまま出る」を実感した。
 発売日前日になって、こんな世迷言をほざいているくらいだから、あちこち不備があるんだろうなぁ、と自分でも思う。
 いやはや、もう直せないし、その辺も含めて広ーい心で、楽しんで、と無責任なことしか今は言えない。

 気の早い書店だと、たぶん夕方には店頭に並ぶ。
 見かけたら手にとってパラパラめくってみてください。
 今回の佐嶋さんの、式神を描いた扉絵は凄いよ。