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どっきりホテル
桝田 省治

 テレビのどっきり企画番組の趣向を宿泊客に体験し楽しんでもらうという、正月限定の企画だったらしい。
 僕は、まったくそんなことを知らされずに家族についていっただけなので、正直戸惑った。
 後から考えてみれば、いきなりわけのわからない書類にサインさせられたのは、洒落のわからない客のクレーム対策だったのかもしれない。

 双子の従業員を使った企画は、ベタだがまんまとだまされた。
 一番面白かったのは、大浴場に行ったら、浴室で「全日本温泉水泳大会」が開催されていて、洗い場が観客で埋っていたこと。
 なにしろ、こっちは全裸なのだ。

 ……という夢を今朝見た。

 ついでに数日前に見た夢も書いておく。
 日本人の若い女性と中年男性のタレントが、ジャングルの奥地にあるどこかの裸族の村のお祭りに参加していた。
 そのお祭りは、鳥の求愛行動を真似ているらしく、湖の周囲をぴょんぴょんと跳ね、「ほーほほほ」みたいな感じの奇声を発しながら男性が女性を追いかけていくものだ。
 この格好がまた可笑しかった。
 子供がペンギンのまねをしているように両腕を身体の横につけて手だけを左右に向けて直立した姿勢。
 顔は横を向いていてその方向に跳ねる。高さは50センチほど跳ぶのだけど、進む距離自体はきわめて短い。
 だから、なかなか女性に追いつけないのだ。
 日本人の女性は、ものめずらしさが手伝って現地の男性に大人気。
 何十人もの裸の男が巨大なペニスサックを揺らしながら列をなして跳ね回る。
 その様子を中年男性タレントは、最初はニヤニヤ笑いながらあきれて見ていたが、いつの間にかそのグループに加わって、けっこう本気で追いかけていた。
 なんだか男も女もメチャクチャ楽しげだった。

新年のご挨拶
佐々木 哲哉

 遅くなりましたが、皆さん、明けましておめでとうございます。

 そして、めでたい事に、本日、当社の設立日です。
 お陰様で、山有り谷ありですが、何とか丸22年やって来れました。これもひとえにファンの皆さんのお陰です。
 そして、先日発売されたファンタシースターポータブル2も50万本出荷され順調に売上げを伸ばしてくれてるようで何よりです。
 これからも、アルファ・システムをどうぞよろしくお願いします。

昨年を振り返りつつ2010年抱負
桝田 省治

 謹賀新年。

 昨年1月2日の日記には「とりあえず、mixiのニュースから強引にネタをひねり出す」とある。
 結果としては、三日坊主ではなかったが2月6日に9個目のネタを書いたところで挫折したらしい。
 だが、とりあえず、1月10日に書いた「【企6】女戦士の苦労話」は、
「傷だらけのビーナ」エンターブレイン(発売日未定)に、
 その2日後12日の「【企7】結婚したいから冒険」は、
「ジョン&マリー ふたりは賞金稼ぎ」ハヤカワJA文庫(2月下旬発売予定)と、一応実を結んだ。
 9個で2個、実質10日で2件なら、ま、企画の採用率としてはいいほうだろう。
 それと、技術評論社の美人編集者の色香に迷って「ゲームデザイン(仮)」という小説ではない本も年末に1冊書いた。
 やったことがない新しいタイプの仕事というのは、勝手がわからないところが面白い。

 さて、今年。
 去年の年末、突然の電話から、思わぬ仕事にあれよあれよという間に巻き込まれて現在忙殺中。正月なんてない。
 久しぶりに大き目のRPGのシナリオを書き始めた。
 大きめだが、いわゆる大作ではなく、連作短編風味だ。
 たぶん、今年のメインの仕事はこれになるだろう。
 今年の年末来年の年始は、これのノベライズを自分で書いてるはずだ。

 それと、去年、こんな方とちょっとだけ知り合いになった。
http://redjuicegraphics.com/
 僕は、この方の描く「目つきの悪い女」が大好きだ。
 で、「目つきの悪い女」というタイトルだけとりあえず決めた。
 内容はまだ考えてない(笑)。
 なんか思いついたら、こっそり書くつもり。

 あとは、今年も企画を考えようと思う。去年の実績から考えれば、数出せばけっこうものになる。

髪を切った
桝田 省治

 もちろん失恋したわけではない。

 長男の髪の毛が伸びて鳥の巣のようになっているのが気になり、長男を散髪に連れて行くために僕も付き合って髪を切った。
 じきに花粉が飛ぶ季節なので、なるべく髪は短いほうがいい。
 ということで、かなり刈り込んでもらうことにした。

 ――3mmである。
 と実家の母に電話で話したところ、生まれたときですらもっと長かったと言っていたから、僕は今生まれてこのかた、一番短い髪のヘアスタイルということになる。

 もうすぐ50歳だから、若気の至りではないが、物の弾み、出来心、魔が差したというやつかもしれないと鏡を見、頭を撫でてみて思う。

 はっきり言って失敗だった。
 似合う似合わないは主観の問題だ。別にどうだっていい。
 普通に暖房していても頭だけが寒い。
 頭が冷たくて、目が覚める。
 しかたなく家の中でずっとフードをかぶって生活している。
 ぜんぜん清々しくない。実に妙な気分だ。

 サムソンがデリラに髪を切られて力を失ったのは、たぶんその時代にニット帽が普及しておらず、かつ寒さから風邪をひいたのが原因に違いないよ。

最近、僕は大人になったと思うんだ
桝田 省治

 ……と次男(中2)が言う。
「なんだ、それ。突然どうした?」と訊ねると、次男はこんな話をした。

 最近、お母さんと喧嘩をしなくなった。
 たとえば、お母さんが電話をしているときは「テレビの音量を下げろ」と言うくせに、僕が電話をしているときはお母さんは「聞こえない。うるさい」とテレビの音量を上げる。
 この類の理不尽さに、ちょっと前まではイチイチ頭にきてそのたびに喧嘩になったが、今はもう慣れた。
 そういう点が自分は大人になったと感じる。
 さらには、お兄ちゃん(長男)の凄さもわかるようになった。
 なにしろ、小学生のころから、お母さんの理不尽さや僕や妹の屁理屈に、怒ることもなくかつ相手を怒らせることもなく受け流してきた。
 今思えば、これは凄いことだ。

 次男の答は、だいたい以上のような主旨だ。
 で、今度は次男が僕に訊ねる。

「お父さんは、お母さんの理不尽さを承知していて結婚したのか、それとも結婚してから気づいて慣れたのか、どっち?」
「理不尽さが面白かったから結婚した……と言ったら信じるか?」
「いや、もしそれが本当だとしたら、僕はまだ大人になってないかもしれないね」

 ま、大人にもいろいろあるとは思うし、僕のような大人になってほしいともぜんぜん思わないけどな。