気がつくと椅子に縄で縛られて座っていた。
僕の前にいるのは、男女一組の強盗だ。
女が山のような形をしたつばの広い青い帽子を鞄からとりだす。
帽子の正面には、何かのキャラクターを模したのだろうが、元が何なのかわからない稚拙な黄色い鳥の顔がついている。
それを僕の頭にかぶせる。
すかさず男がカメラで僕の姿を撮影し
「金を払わなければ、この恥ずかしい写真をネットに流す」と僕を脅す。
さらに、男は、絶版になって久しい、やっと手に入れた20巻セットの文庫本の中ほどから適当に3冊抜き出す。
つばをつけてページをめくりながら
「金を払うまではこれは預かっておく」とニヤニヤ笑う。
……ここで目が覚めた。
自分の夢とはいえ、なかなかピンポイントに攻めてくる強盗だと思った。